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2009年01月31日(土)
「これ、日本語ついてますか?」

『ビロウな話で恐縮です日記』(三浦しをん著・太田出版)より。

(「字幕か吹き替えか」という項から)

【友人Kと近所で飲む。
 Kは最近、DVDの販売をしている。その店での経験によれば、大学生ぐらいの若者はほとんど全員、洋画のDVDを買うとき、
「これ、日本語ついてますか?」
 と聞くのだそうだ。Kは最初、どういう意味なのかわからなかったのだが、つまり、若者は字幕ではなく吹き替えで映画を見るらしい。理由は「読むのが面倒だから」。
 へえ、と思った。私は基本的に、日本語以外の映画は日本語の字幕で見る。『ロード・オブ・ザ・リング』は、映画館において字幕でも吹き替えでも見たけれど。しかも複数回ずつ。そのときに、「吹き替えっていうのも楽しいものだな」と思いはしたが、やはり映画館に行って、字幕と吹き替えと両方ある場合だと、これまでの習慣から字幕のほうを選んでしまう。だいたい、吹き替えがつくのって大作系が多いじゃないか。そうじゃない作品を見るときはどうするのだ。見ないのか。そうか……。
 習慣はゆるやかに変化していく。弁士が消えていってしまったように、字幕もいつかなくなってしまうのかもしれない。】

〜〜〜〜〜〜〜

 これを読んで、「そういえば、近所の某TSUTAYAで借りたDVDにも『日本語吹き替えは付いてません』ってシールが貼られていたのを思い出しました。そのときは、「そんなのわざわざ断らなくてもいいんじゃない?吹き替えがなければ字幕で見るだろうし」と感じたのですが、「吹き替えが無ければ観ない」という人が、けっこういるということなのでしょうね。

 僕も三浦さんと同じように「基本的に日本語以外の映画は日本語の字幕で見る」ようにしています。やっぱり、「なるべく元の『音』をそのまま聞きたい」ので。「字幕派」としては、「読むのが面倒」なら、「観るのはもっと面倒」だろ!とか言いたくもなるのです。
 でも、英語をそのまま聞き取れるのならともかく、字幕を追うことにばかり気をとられて、映像を隅々まで観ることができていないのかもしれない、とも思うんですよね。
 どちらかというと、字幕で観るのは「なんとなくそのほうが正しい映画の観かただ」とか、「字幕で観たほうがカッコいいんじゃないか」というような思い込みの部分が強いのかもしれません。
 字幕と吹き替えと両方観てみれば良いのでしょうが、同じ映画を二度観るというのも、なんだかちょっと時間が勿体ないような気がするし。

 そういえば、先日観た『WALL・E/ウォーリー』というアニメ映画は、僕の地元の映画館では「吹き替え版」しか上映されていなかったので、「ポリシーに反して吹き替え版を観ることになるとは!字幕版を上映しているところを探したほうがいいかな……」と少し悩んでしまいました。
 いや、観てみたら、もともとセリフが少ない作品でもあり、絵をじっくり観るためには、吹き替え版のほうがいいのかな、とも思ったんですけど。

 慣れてみれば吹き替えのほうがよっぽどラクでしょうし、海外では「字幕で映画を観る習慣そのものが無い」という話も耳にします。
 「字幕大国」「映画通は字幕で観るものだ」というイメージがある日本では、すぐに字幕が無くなってしまうことはないのでしょうが、いずれは「日本語字幕は付いていません」というシールがDVDに貼られる日が来るかもしれませんね。