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2007年07月27日(金)
「アイスコーヒー」と日本人

『家電批評monoqlo VOL.1』(晋遊舎)の記事「アイスコーヒー・本気レビュー」のなかの「アイスコーヒー豆知識」より。

【現在、世界中の国で飲まれているアイスコーヒーだが、その歴史は意外と知られていない。しかも、最初にコーヒーを冷やして飲む「アイスコーヒー」という飲み物を考えついたのは、大正時代の日本人だといわれている。これは、お茶などを始めとして温かい飲み物を冷やして飲むという、日本独自の文化によるものなのである。
 世界各国では食品衛生上、飲み物を温めずに(火を通さない)飲むことが危険だと見なされていたり、欧米の一部の国では、水以外の飲み物を冷やして飲むことは非常に贅沢だという考えがあった。これに対して、日本では昔から井戸水のように地下から汲んできた水を直接飲めるほど安全できれいな水が確保できたことや、飲み物を冷やして飲む文化が一般的に広まっていた。このことが、日本でのアイスコーヒー誕生の大きな理由と言えるだろう。
 こうした状況の中、世界各国でアイスコーヒーが広まったのは、ここ10年くらいの間である。その背景には、缶やインスタントなど日本のコーヒー文化が世界に浸透したことが挙げられる。また、これと同時期に、スターバックスやイタリアのカフェなどでアイスコーヒーをメニュー化するようになった。しかし、これも現地に旅行などで行った日本人が、アイスコーヒーを注文したことが始まりと言われている。このように、世界中に広まるアイスコーヒーを語る上で、日本の存在は欠かせないのである。】

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 僕は「夏は当然アイスコーヒー!」で、「冬でも冷たいコーヒーが飲みたいことが多い」くらいなのですけど、アイスコーヒーの発祥が日本だったとは知りませんでした。確かに、そう言われてみれば、僕が言ったことがある海外では「アイスコーヒー」ってあんまり見なかったような気がします。「コーヒーは温かい飲み物」で、「冷たいものを飲みたいときには水かコーラのような清涼飲料水」というように、かなり「棲み分け」がされているのかもしれません。先日行ったイタリアでも「カプチーノかエスプレッソか?」とは食事のたびに聞かれましたが、「ホットかアイスか?」とは、一度も訊ねられませんでしたし。
 
 コーヒーという飲み物の長い歴史を考えれば、「これを冷やして飲んでみよう」と考えた人は「大正時代の日本人」の前にたくさんいそうなものなのですけど、このコラムを読んでみると、世界基準で言えば、「冷たい飲み物」というのは、それだけでかなり贅沢なのだ、ということがよくわかります。多くの国では、安全な「アイスコーヒー」をつくるために一度沸かしたコーヒーを冷やさなければならないわけで、そういう意味では「非常にコストパフォーマンスが悪い飲み物」になのです。

 それが「伝統」というものなのでしょうけど、暑いなかホットコーヒーを飲んでいるイタリア人を見ていると、僕などは「モノ好きな……」とか、つい考えてしまうのです。
 あちらの基準からすれば、「コーヒーを冷たくして飲む」というのは、僕たちにとっての「コーラを温めて飲む」ことと同じようなものかもしれませんけど。

 「スターバックス」などの海外のコーヒーショップが日本中にどんどん支店を増やしていて、これが「本場」の味か……なんて感心している日本人がたくさんいる一方で、世界各国の人々は「缶コーヒーやインスタントコーヒー、アイスコーヒーなどの日本発のコーヒー文化」に大きく影響を受けているというのは、なんだかちょっと不思議な気もしますね。