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2007年02月01日(木) ■ |
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「同時通訳」という仕事の本当の難しさ |
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『雑学図鑑・街中のギモンダイナマイト』(日刊ゲンダイ編・講談社+α文庫)より。
(「同じ人物の同時通訳を何人もが交代でこなすのは?」という項の一部です)
【テレビの報道番組などでおなじみの同時通訳だが、たまに1人の人物の通訳を何人もが交代で受け持つことがある。なぜだろうか? 同時通訳は正式には「放送通訳」と呼び、外国語を日本語に(または日本語を外国語に)瞬時に翻訳してみせる離れワザだ。 その放送通訳、2002年12月に勃発したイラク戦争の初期報道でひときわ目立つ現象が見られた。ブッシュ米大統領の緊急演説などの際に、複数の通訳者が目まぐるしく交代していたのだ。これは通訳の世界では当たり前のことなのか。 そこで、この業界に詳しい『通訳翻訳ジャーナル』編集長の八代登志江氏(当時)に聞いたところ、 「放送通訳に限らず、通訳にかかわる仕事はことのほか高い集中力が要求されますので、複数の人間は一つの案件を担当するケースは多いのです」と説明する。 放送通訳には厳密に分類すると「時差通訳」と「同時通訳」の2通りがある。時差通訳は事前に番組で流すVTRを下見し、ある程度の原稿を作ってから放送に臨む。片や、同時通訳(「生同通」とも呼ばれる)はまさに瞬時に通訳をするやり方で、突発的な大事件が起こった場合などに限られる。それも同時通訳をする時は狭いブースに2〜3人が押し込まれ、5〜10間隔で交代し、交代後は次に通訳を受け持つ人のためにメモを取るという忙しさ。しかも一発勝負のため、ミスは断じて許されない。 「同時通訳をこなせるようになるのには、どんなに語学力がある人でも軽く10年はかかります。常に世間の時事に目を配るなど、普段の努力も欠かせないですし」(八代氏)】
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日本の放送通訳で一番多いのは、やはり英語の同時通訳なのだそうです。それにしても、これだけ世間に「英語が喋れる人」は満ち溢れているように見えても、あの「同時通訳」というのは、テレビを観ている側が考えているような、「英語ができる人なら誰でもできる」というようなものではないようです。考えてみれば、リアルタイムの「生同通」では相手が何を言ってくるのか全然わからないわけですし、「同時通訳」が必要になるような大きな事件・事故の際には、演壇に立っている人は専門用語や普段は耳にしないような言い回しを使うことも多いでしょうし。「生同通」の「難易度」は、文字になったものを翻訳することや演説が一通り終わって、その概略が掴めてから通訳することに比べれば、はるかに高くて当たり前ですよね。そして、例えばイラク戦争に関するアメリカ大統領の演説であれば、現在の世界情勢をある程度理解していなければ、ごくわずかな時間での適切な翻訳は難しいはずです。国や都市の名前なんて、それが固有名詞であることを知らなければ「どういう意味?」なんて迷ってしまうかもしれません。場合によっては、「同じことを日本語で言われたって理解するのが難しい」ような専門的な内容を同時通訳しなければならない場合だってあるでしょうし。 しかも、そこで語られているのは世界を左右するような非常にデリケートな内容なのですから、ちょっとした聞き逃しや翻訳の間違いも許されないのです。逆に、よく5分〜10分も、そんな緊張に耐えられるよなあ、と感心してしまいます。おまけに、自分が通訳していない間も、他の人のサポートに回らなければならないなんて。「人が喋っている言葉を日本語に直すだけ」のようなイメージがあるけれど、実は、通訳っていうのはそんなに簡単な仕事ではないようです。テレビでも同時通訳の場合には通訳者の名前がちゃんと明示されることが多いのは、やはり、それだけのスキルが必要な、責任のある仕事がということなのでしょうね。 でも、こういう記事を読むと、「そこまでして、『同時通訳』にこだわる必要があるの?とか、つい考えてしまうんですよね。国際会議でのリアルタイムでの議論でもなければ、それほど「同時」でなくてもいいような気もすするのですけど。テレビの報道番組だって、大統領の演説が終わったあと10分くらいかけて翻訳をキチンとチェックしてから日本語訳を流しても、少なくとも日本国内では困る人はいないような……
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