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2006年08月29日(火)
ホテルに「聖書」が置いてある理由

「雑学図鑑・知って驚く!!街中のギモン110」(日刊ゲンダイ編・講談社+α文庫)より。

(「ホテルにはなぜ聖書が置いてある?」という項から)

【ホテルの客室には、なぜ聖書が置かれているのだろう。
 日本ホテル協会に尋ねてみたところ、次のような答えだった。
「聖書は、ホテル側が積極的に置いているわけでもないんです。ギデオン協会という団体が個々のホテルに対して、”海外では寝る前に聖書を読む習慣があるので、外国人宿泊客向けに”と、寄贈してくるんです」
 ギデオン協会とは、アメリカ発祥のプロテスタント系信徒組織で、現在、世界179ヵ国で聖書の普及活動をしている。日本のギデオン協会によると欧米のホテルにある聖書も、ギデオン協会寄贈なんだとか。
「日本では戦後、日本人の再教育にはキリスト教が必要だと考えたマッカーサーが、宣教師派遣を本国に要請しました。ギデオン協会が日本に渡ったのもそれがきっかけです。現在、主に学生を対象に年間約90万冊の聖書を配布しています。ホテルへの寄贈は外国人客向けという名目もありますが、日本語も併記してあります。ホテルの聖書がきっかけでクリスチャンになった人もいます」(日本国際ギデオン協会)
 ギデオン協会の聖書は、市販の新共同訳新約聖書と同じ内容。しかし、表紙に協会の名を入れた特注版で、冒頭には「災難のときの救い」「疲れたときの休息」など、場面に応じたお薦めページの紹介が加わっている。「ホテルは単に寝泊りの場所ではなく、悩んだり行き詰まった人が利用することもあります。人生に悩む人に読んでもらいたいんです」(ギデオン協会)】

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 あの「ホテルの聖書」って、なんだか気になりますよね。確かに、どこのホテルにも置いてあるので。子供の頃、はじめてホテルの机の引き出しの中に聖書を見つけたときには、このホテルは宗教団体に支配されているのだろうか?と不安になったものですけど。
 この「ホテルの聖書」、僕も真剣に読んだことはないのですが、何度かパラパラとページをめくってみたことはあります。とはいえ、結局のところ「興味を持つ」前にテレビのスイッチを入れたり、手持ちの本を読みはじめてしまうことばかり。今の世の中、他に娯楽はいくらでもありますから、あの「ホテルの聖書」を読みふける人というのは、そんなにたくさんはいないのではないでしょうか。
 にもかかわらず、「どこのホテルにも置いてある」のには、こういう「理由」があったんですね。もちろんギデオン協会としては「布教活動」の一環ではあるのでしょうけど、ホテル側としても「まあ、置いておいて悪いものではないかな」ということで、こうして続いている習慣なのでしょうね。でも、本当に欧米人は、寝る前に聖書を読むのでしょうか?
 ところで、僕がこの話を聞いていて思ったのは、ギデオン協会って、けっこうお金持ちなのだなあ、ということでした。ホテルに置いてある「聖書」って、けっして華美な装丁ではありませんが、表紙とか革張りで高級そうですし、年間90万冊もこういう聖書を「無償で」配っているとのことですから、原価が1冊100円としても、それだけで1億円くらいのお金がかかるはずです。著者印税が要らないというのは、かなり大きいのかもしれませんが、それにしても、配布するための手間なども考えれば、すごいコストになりそうです。
 「ホテルの聖書がきっかけでクリスチャンになった人がいる」というのが話題になるくらいの効果しかないのなら、本当に「効率的な布教活動」なのかどうかはちょっと疑問なのですが、そんなケチくさいことは言ってはいけないのでしょうね。ホテルの聖書で、独り「災難のときの救い」を読むような状況には、あまりなりたくないものですが。