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2006年08月24日(木)
「アカの他人の披露宴に出席する」という仕事

「週刊SPA!2006.8/15・22合併号」(扶桑社)の特集記事「ラクして稼ぐ『リアル錬金術』大全」より。

出席代行(結婚式1回につき1万2000円程度)
 本来なら、数万円包んだうえに他人の幸せを見せつけられるのが結婚式。しかし、アカの他人の披露宴に出席するだけで、カネになるというオイシイ商売があるという。話を聞かせてくれたのは、出席代行を副業とする浦野浩二さん(仮名)。

「呼ぶ友達がいないとか、式の直前にケンカして来れなくなったとかで空いた席の穴埋め役です。相手方の親戚の手前、新郎がニートだと体裁が悪いので架空の上司役を、なんて依頼もありましたね」

 なかには、スピーチや歌の余興を頼まれることも。

「依頼者とは事前に打ち合わせをして、本番に挑むんですが、以前、新郎の親戚と同じ席になったことがあって。『××高時代の友達なら、○○校長知ってる?』なんて話を振られて焦りました。
 そんなときは、すかさずトイレに緊急避難するという浦野さん。

「引き出物をもらえてカネになるんだからラクですよ。たまに、依頼者から『引き出物を返せ』って言われることもありますが(笑)」】

〜〜〜〜〜〜〜

 以前、「披露宴に友人が全く出席してくれない女性」がネットで話題になっていたことがあって、そのトピックに対して、このサービスを紹介するコメントを書いていた人がいたのです。正直、僕はこんな商売が成り立つのだろうか?と半信半疑だったのですが、こうして雑誌にもとりあげられるくらいですから、本当にやっている人がいるのは間違いないようです。

 「1回1万2千円」で食事つき、お土産つきであれば、土日祝日の「副業」としては、悪くないような気もします。結婚式の「引き出物」って、そんなに欲しいものかと問われればちょっと疑問ですし、「披露宴への出席」ともなれば、それなりの格好をしてくることも「仕事のうち」でしょうから、着ていく服や装飾品などの「設備投資」もそれなりにかかりそうではあるので、「1万2千円」でも、それほど「ワリがいい」かどうかは微妙なところですが。
 しかしながら、「赤の他人の結婚式」に出るのって、けっこう辛いものがありますよね。いや、「新郎あるいは新婦とは親友だけど、他に誰一人知り合いがいない披露宴」と「新郎も新婦も全然知らないけれど、出席者は知り合いばかりの披露宴」とで、どちらか一方に出席を強制されるとしたら、僕は絶対に後者を選ぶので、「他の出席者を知らない」ことのほうが辛いかもしれません。まあ、そういう人の結婚式の場合は、「顔見知りの出席代行仲間が大勢」なんてこともありそうですけど。

 僕の場合、披露宴への出席というのは、よほどの「公用」が無いかぎり断っては失礼のあたるものだという意識があるのです(たぶん、多くの人がそうだろうと思います)。でも、やっぱりそこに出席するときの「熱意」というのには温度差があるものだし、中には、「せっかくの週末なんだし、御祝儀だけ置いて帰っちゃいたいなあ……」というようなこともあるのです。それでも、出席しているうちに、それなりに幸せのおすそ分けを貰ったような気分になっていたりすることも多いのですが。

 こういう話を読むと、「そんな状況なら、わざわざ披露宴なんかやらなきゃいいのに……」なんて考えてしまうのですが、僕自身にしても「じゃあ、お前には自分の披露宴に呼べる『友達』が、そんなにたくさんいるのか?」と問われたら、あまり自信がないのも事実なんですよね。「仕事上の付き合いの人」まで呼べばきりが無さそうだし、「本当の親友」となると、片手でさえ余るかもしれません。「絶対呼びたい人」と「呼ばなくてもいい人」は分けられるとしても、その境界線を引くのって、すごく難しい。
 人にはいろいろな「事情」ってやつもありますし、「友人」「上司(あるいは部下などの仕事仲間)」「親族」のすべてを完璧に揃えて、「普通の披露宴」をやるというのは、当たり前のことのようでけっこう大変なことみたいです。