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2006年06月23日(金) ■ |
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『ルパン三世 カリオストロの城』の功罪 |
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「BSアニメ夜話 Vol.01〜ルパン三世 カリオストロの城」(キネマ旬報社)より。
(名作アニメについて、思い入れの深い業界人やファンが語り合うというNHK−BSの人気番組の「ルパン三世 カリオストロの城」の回を書籍化したものです。この回の参加者は、岡田斗司夫さん(作家・評論家)、乾貴美子さん(タレント)、大地丙太郎さん(アニメ監督、演出家、撮影監督)、国生さゆりさん(女優)、唐沢俊一さん(作家・コラムニスト)です。
【岡田:あの、原作者のモンキー・パンチさんは、やっぱり、この『カリオストロの城』を、すごい評価しているんですけども、この後ですごくやりにくくなったと言っているんです。
国生:そうだと思う。
岡田:だってモンキー・パンチの原作版のルパンって、女を裏切るし後ろから撃つんですよ(笑)。
国生:そうそうそう。
大地:そうなの?
国生:そうなんです。
乾:いい人ですよね? この作品だと。
唐沢:悪人ですからね、もともとは。
岡田:この作品になったら、急に目がつぶらで、いい奴になってるんですよ。
唐沢:だからルパンではないんですよ、だから。
岡田:そう、はい。
唐沢:あの、はっきり言うとコナンなんですよね。
岡田:コナンです!
一同:あぁ〜。
岡田:『未来少年コナン』。
唐沢:この作品を語るときには、絶対にその前に、宮崎駿という人間は本当に無名っていうかね、よっぽどのアニメ好きでないと名前を覚えられていなかった、宮崎駿の名前は、あのコレ(『カリオストロの城』)でどんと出たんだけれども。実はその前に『未来少年コナン』という、NHKでやっていた作品があって、それで、そのファンたちがもっと宮崎駿を見たいと。あの、その後(『未来少年コナン』の後番組)で始まっちゃったのが『キャプテン・フューチャー』だったから。その宮崎駿の、あのコナンをもういっぺん観たいというような声に応えて、その『コナン』を作っちゃった。だから、そのルパンファンは、特に最初のファースト・ルパンの、特に前半の大隈正秋演出のルパンが好きだった人間とか、あるいはモンキー・パンチの原作が好きだったルパンファンにとっては、これは、もうルパンではない、と。女の子を抱かないルパン、最後にキスをおでこにするだけで帰るルパンは、これは原作を否定しているじゃないか、という声があったんです。
岡田:はいはい。
乾:大地さんは、このルパンをどう思います?
大地:いや、これがルパンなんだよ!
一同:(笑)。】
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僕もはじめてこの『ルパン三世 カリオストロの城』をテレビで観たときには、「世の中にはこんなに面白いアニメがあるのか!」と感動したのをよく覚えています。ルパンのアクションの面白さ、ドラマチックで人情に溢れたストーリー、ロマンチックな風景、そして、クラリスの清楚さ…… もう何度も観ていて、DVDまで持っているにもかかわらず、テレビで放映されるたびに、ついつい最後まで観てしまうのです。 その一方で、原作者のモンキー・パンチさんにとっては、この、あまりに一般に浸透してしまった『カリオストロの城』のルパン三世のイメージは、ときに、重荷になってしまうこともあるようです。それはもう当然のことで、本来モンキー・パンチさんが描かれていた『ルパン三世』という作品は、もっと大人向けのピカレスク・ロマンの要素が強いものだったのです。 しかしながら、この『カリオストロの城』でルパンを知ったという人があまりに多くなってしまったために、モンキー・パンチさんが「本来のルパン」を描こうとすると、「ルパンはそんな酷いことはしない!」なんていう批判を浴びるようになってしまったのだとか。 確かに、そこまでキャラクターが愛され、知られているというのは漫画家冥利に尽きることなのかもしれませんが、それが、自分が本来描いていたものとちょっとズレてしまっているというのは、内心複雑なものもありそうですよね。「ひとつの作品」としては、もちろん評価しているのでしょうが、その作品の影響力のあまりの大きさを考えると、「俺が作ったキャラクターのはずなのに……」と不満だったりもするのではないかなあ。 でも、『カリオストロの城』から入ってきた人たちにとっては、やっぱりこの傑作での優しいルパン三世のイメージから抜け出すというのは、非常に難しいことなのですよね。
「いや、モンキー・パンチとかいうオッサンがごちゃごちゃ言ってるみたいだけど、これがルパンなんだよ!」と叫びたくなる気持ち、僕にもよくわかります。モンキー・パンチさんにとっては、理不尽極まりない話だろうけど。
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