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2006年06月22日(木)
「朝型人間」として生きられないあなたへ

「日経エンタテインメント!2006.7月号」(日経BP社)の連載コラム「長谷川滋利のシゲキ的メジャーリーグ通信 Voi.62」(長谷川滋利著)より。

【現役中、シーズンオフになると、僕は毎日5時くらいに起きて、妻と息子が起きてくるまでの3時間くらいの間に、ゆっくり新聞や本を読んだりしていました。
 というのも、やっぱり朝が一番自分のために時間をとることができるからです。そこで自己啓発というか、自分自身のための時間に使うようにしていました。
 新聞の読み方も、犯罪とか事件じゃなくて、なるべくビジネスやスポーツの欄をじっくり読むようにします。朝は1日の始まりですから、できるだけ気分のよいニュースを読んで、いい気分でその日をすごせるようにしたほうがいいと思うんです。

(中略)

 日記を書くのも、朝がいいんじゃないでしょうか。普通は寝る前に、その日の出来事を書くのでしょうが、夜だと酒を飲むときもあれば、眠たいときもあるでしょう。寝る前に考え事をすると、「こうしよう、ああしよう」となって、なかなか寝つけなくなることもあると思います。

(中略)

 朝型の生活になったのは現役の最後の2年間くらいですけど、成績は別にしても、体の調子はずっとよかったですね。
 それができたのは、アメリカは日本よりもはるかに朝型の人が多い社会だということも影響しているでしょうね。ビジネスでは、早朝ミーティングも一般的です。
 その理由として、飲みに行く習慣がないことが大きいと思います。選手同士でも、遠征先のホテルのバーで飲むくらいです。そこも12時くらいには閉店になりますから、ナイターが終わってから1時間くらい飲んで、その後部屋に帰るという感じです。それから外の店に行く選手もいましたが、僕は行かないと決めてました。つきあいは大事ですけど、自分の中でここまでと線引きしていないと、きりがなくなります。
 選手は朝寝坊ですけど、裏方さんはビデオ係の人とかけっこう朝が早い人がいつので、そういう人たちと一緒に翌朝は朝食を食べていました。選手だと、今も活躍しているJ.J.プッツという投手が早起きで、よく一緒に朝食をとってました。
 早起きすると、練習の仕方にも余裕が生まれるというメリットもありました。例えば、僕は午前中にフィットネスジムでトレーニングを済ませてから、球場に行くことがけっこうありました。すると球場に行ったら、トレーニングは終わっているので、全体の練習のこととか、ミーティングのことだけに意識を集中すればいいわけです。
 要は、常に余裕をもって物事にのぞむということですが、それは時間のマネジメントでとても大事なことだと思います。】

〜〜〜〜〜〜〜

 典型的な「夜型人間」である僕としては、非常に身につまされる話です。確かに、早く起きて仕事を始めておくというのは、かなりのメリットがあるんですよね。僕も朝のうちにキチンと入院している患者さんたちの回診を済ませておいたときは、その日1日余裕を持って仕事ができるような気がしますから。突発的なアクシデントがあって、なかなかその場を離れられないようなときでも、「まあ、入院している人たちには、今日1回会っているし」と思えるというのは、かなりの心の余裕をもたらしてくれるのです。

 まあ、こんなに偉そうなことを書きながらも、実際は「前の日にお酒を飲んでいたり、ネットやゲームで夜更かしをする」ことが多いものですから、なんとなくやり残したことを抱えながら、ずっと外来で拘束されてしまう、というような状況もけっこうあるのです。ほんと、仕事を充実させることを考えたら、あまり夜更かしをせず、朝は早めに出勤して、「その日絶対にやらなければならないこと」を先にやってしまっておけば、その日一日を「優位に立って過ごせる」のだろうけどなあ。
 でも、ついつい「ああ、明日も朝から仕事だなあ…」とか考え始めると、「あと30分くらいゲームしておこうかな」というような欲望に負けてしまいがちなんですよね。逆に、朝に何かやろうと思っても「どうせもうすぐ仕事だし」ということになると、どうしても「なんだか憂鬱な気分」になって、ボーっと「めざましテレビ」とかを眺めてしまうのです。そこで一念発起して、「今日一日に先手を打つ」ことができれば、もっといろんなことが充実させられるし、新しいことをやるだけの余裕もできるかもしれないのに。
 というわけで、僕も少しずつ「朝型」にシフトしていこうと考えているのです。その一方で、「仕事帰りの一杯」はやっぱり捨てがたいものではあるのだけれども。

 しかしながら、朝から「犯罪や事件」しかも「猟奇系」を丁寧かつ大々的に放送している日本のワイドショーというのは、日本人の朝にとって、ものすごく悪影響を及ぼしているのかもしれませんね。あれで「朝からいい気分」になるのは、かなり至難の業ですから。