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2006年06月05日(月)
松本人志が写真週刊誌を訴えた「本当の理由」

「週刊プレイボーイ」(集英社)2006.6/5(Vol.23)号の「松本人志の怒り!」より。

(読者からの[松本さんが、写真週刊誌を相手に「裁判で勝訴」という記事を読みました。なんでも、プライベートでAVを借りているところを盗撮された」からとか。確かに、そんなことされたら腹立ちますよね!]
というメッセージに対しての松本人志さんの答えの一部です)

【この裁判はねえ、勝つには勝ったんですけど、本当に大変でした。
 もうね、ワザとやと思うんですけど、新聞やその他の報道でね、ボクのいちばん言いたかった主張が歪曲されているんですよ!
 報道の多くが「プライベートでAVを借りているところを盗撮された」ことを怒っているように書いてありましたが、違うんですよ。
 そうではなくて、写真を載せる時に「防犯カメラの記録ビデオから転載した」ことをボクは怒ったわけです。
 もし、こんなことがこれからも許されるのなら、有名人は(防犯カメラのついている)エレベーターにも乗れないし、スーパーにも行けないし、ということになってしまいますよ…。新宿なんかふつうにあちこちに設置されているので、有名人でなくても女のコと気軽に歩けなくなるでしょう。
 タレントや顔の知れた人のツーショット写真が(防犯カメラの録画映像から)流出しまくることになる。これはほっておけないというころで正式に手続きを踏んで出版社を訴えたわけです。
 今回、こういう判決が出たことによって、他の出版社もさすがに「防犯カメラの映像は使えないナ、無理やろナ」と思ってもらえたらいいんです。そうでないと、コンビニで女性タレントさんが生理用品を買った映像まで写真誌が買う恐れがあります。
 その主張が世間に理解されずに、「松っちゃんが、ビデオ借りてるところ撮られたから、怒った…」みたいに思われているのは本当に残念ですね。
 賠償金が90万円というのも微妙ですしねぇ。

(中略)

 ボクねー、このことに関しては、訴えているということも一切言わなかったんです。勝訴したこともラジオでちょっと言っただけで。よくある「宣伝」みたいに思われたくなかったので…。でも、間違った認識をもたれたままでは残念なので、ここでちゃんと言っておきたいと思います。
 ゴシックで太く書いておいてください。「防犯カメラのビデオ映像からの写真転用は訴えられるほどの悪事である」、と!
 こんなことをワイドショーとかで言ってもムダなんですよね、
 昨日、ある後輩のタレントと一緒にいたんですが、彼も写真誌にハメられたと言ってました。
 なんでも写真誌の編集者と元カノが知人で、「1回呼び出してみたら」と元カノに編集者が言ったらしいです。後輩もくやしがってました。タイミングがタイミングなのでね。
 彼には、「文句言ってもしゃーないで。記者会見でコンコンと説明しても、リポーター、なんにも聞いてないから」と教えておいてあげました。
 昔、ボクも記者会見をちゃんと開いて説明したことがあったんですけど、翌日のスポーツ紙見て、ひっくり返ったことがありましたから。重要なところ、全部カットでしたから。
 だから、嵐が過ぎるのを待って、きっちり訴えるのがいちばんいいんです。】

〜〜〜〜〜〜〜

 この最後に出てくる「後輩芸人」って、あの人のことなんだろうなあ、とか思いつつ僕はこれを読んでいたのですが、確かに、芸能人っていうのもラクじゃないだろうなあ、という気がします。一般の成人男性であれば、AVを借りても、せいぜいレジでちょっと気まずい思いをするくらいのものですからね。
 まあ、この「後輩男性」の場合は、それが「ワナ」だったとしても、引っかかってしまったのは「脇が甘い」と責められても致し方ないところでしょうが、それでも「元カノ」が写真週刊誌の編集者に利用されているかもしれないなんて、普通の人なら、思いつかないことでしょう。
 しかも、それをいくら訴えてみたところで、その釈明会見を「報道」するのもマスコミなのだから、都合の悪いところはカットされておしまい。
 松本さんのような「力のある芸能人」であれば、まだこういう形での「反論」も可能なのでしょうが、それができる人は、ごく一握りの芸能人でしかないはずで。
 そういえば、先日は橋下弁護士が「脱税疑惑」に対し、御本人のブログで反論しておられ、それが大きな話題になっていました。そういう意味では、ブログというのは、非常に大きな可能性を持ったメディアであると言えるのかもしれません。
 それでも、大新聞やニュースを観た人に比べれば、橋下弁護士の「肉声」であるブログを読んだ人は、まだまだ少数なのが現状です。

 この松本さんの「本当に言いたかったこと」というのは、まさに「正論」です。これが当事者のコメントであるということを差し引いて考えても、「防犯カメラの映像を転載する」なんて、非常識極まりない行為です。こんな映像を掲載する出版社の理性も疑いますが、そもそも、こんなふうに防犯カメラの映像が「流出」してしまうということそのものが、とても情けないことのような気がしてなりません。刑事事件ならともかく、こんなことが許されたら、本当に「常に監視されているようなもの」ですよね。「防犯カメラを設置し、管理する側」には、当然、そういう「プライバシーを守る義務」も含まれているはずなのに。
 いくら「芸能人」でも、これはたまらないでしょう。
 そして、声をあげてみても、それが「報道」されるときに「恥ずかしいところを撮られて怒った」みたいな「情報操作」をされては(いやもちろん、ちょっと恥ずかしかったのではないかとは思いますけどね、やっぱり)、せっかくの松本さんの訴えもあまり意味がなくなってしまうわけで。
 結局、こういう事件を「報道」するのもマスコミですから、都合の悪い部分は、「編集」されてしまうことも少なくないようです。

 もちろん、僕がどんなビデオを借りたかなんてことに興味がある人はいないでしょうから、現実問題として、「すべてのプライバシーが商品になる」ものではないでしょう。でも、いくら芸能人が「取り上げてもらってナンボの人気商売」だからといって、超えてはならない一線というのはあるはず。

 まあ、「AVを借りている写真」が「商品」になってしまう松本人志さんっていうのは凄いな、と思わなくもないのですけど。