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2006年05月30日(火)
「アコム」は優良企業!

「週刊SPA!2006.5/30号」(扶桑社)の特集記事「有名企業[正社員の銀行通帳]バッチリ見せます!」より。

【大久保純子さん(仮名)26歳
  年収 400万円
  貯金 760万円

 大手消費者金融・アコムの電話受付業務で、顧客からの新規申し込みや問い合わせを担当している大久保さん。
 消費者金融というと、業務停止となったアイフルの影響で業界全体が同様の体質と見る向きもあるが、アコムで働く大久保さんは「意外と居心地はいいですよ」と語る。

「就職活動のときも、私はやりがいよりも給料で会社を選びました。アコムは短大卒、6年目の私で手取り19万円。ボーナスも出ます。通帳にある4000円台の記帳は、台風のため、タクシーで帰宅した際のタクシー代。数日後には入金されてて、ホントいい会社ですよ」

 現在、親と同居の大久保さんは、毎月2万5000円、ボーナス字に10万円を給料から天引きして、財形預金を行っている。毎月クレジットカードで平均5万円程度、洋服を買い、消費生活を楽しみつつも、760万円もの貯金がある。
 しかし、仕事での精神的なストレスもないわけではない。

「女性社員は回収業務にはほとんどタッチしないんですが、それでも、月に何度かは顧客から泣きの電話が入ってきます。数週間前、入金が遅れている女性から”私、お金返せないんで、死にます”と泣かれ続け、困りました」

 さらに、アイフルの業務停止以降、「お前んところも、どうせアイフルと同じことをやっているんだろうが!」などという、怒りの電話がかかってくるようになったという。

「ウチの会社は、ほかの消費者金融と違って、弱腰なんで、法律はきちんと守っているんですよ。叩いても、ほこりは少ないほうだと思います。アイフルが業務停止を喰らったんで、アコムの顧客が増えているように思われているんすが、実は逆。遊び金を借りてくれていた優良顧客の解約が相次いでいます。新規の申し込みも激減しています。ボーナスが大幅に減りそう……」】

〜〜〜〜〜〜〜

 まあ、この雑誌に取り上げられている人が、「平均的な社員」だとは限らないのですが、それでも(親と同居とはいえ)短大卒、6年目で760万円も貯金があるというのは凄いなあ、と感心してしまいます。世間的にはいろいろと問題が取りざたされている消費者金融なのですが、実際に現場で働いている人の多くにとっては、ちょっとした良心の痛みに耐えることができれば、「優良企業」であることは間違いないみたいです。以前、某消費者金融の支店への放火事件で犠牲となった女性たちがいたように、ひとつ間違えれば危険な目にあう可能性も十分あるのですけど、今は病院勤務だって、絶対安全とはいえない時代ですしね。
 それにしても、お金を借りる側の計画性の無さに比べて、貸す側というのは、非常に至れり尽くせりというか、堅実なものなのだなあ、という気がします。そういえば、JRAこと、日本中央競馬界も「優良企業」なのですよね。そりゃあやっぱり、「借りる側」になるよりは、「貸す側」になるに越したことはありません。「ギャンブルで儲ける唯一の方法は、胴元になることだ」なんていう有名な言葉もあるくらいです。

 しかしながら、「お前のところもアイフルと同じことをやってるんだろ!」なんて末端の電話受付業務の人にクレームを言ってもしょうがないと思うのですが、実際にそういうクレームの矢面に立たなければならないというのは、あまり気持ちの良いものではないはずです。そして、消費者金融の現実というのは、アイフルがどうなろうが、あまり変わりはないみたいなのです。
 結局、アイフルの事件で消費者金融に恐怖感を抱いて、お金を借りなくなる人というのは、「ちゃんとお金も返せる能力がある、ちょっとだけ遊ぶお金を借りて、きちんと期日までに返していた優良顧客」であって、「消費者金融からお金を借りないとどうしようもない人々」というのは、アイフルがどんなに酷い会社で、消費者金融業界そのものが同じような体質であっても、「借りるしかない」のです。そうやって顧客が「返さない人」ばかりになると、より取り立ては厳しくなっていくでしょうし、なんだかもう、救いようのない話のような気がしてきます。

「ご利用は計画的に」って言うけど、計画的に利用できるような人は、消費者金融から借りないだろうしね。

 でも、考えてみれば、僕たちだって住宅ローンとかでもっと多額の借金を背負っていたりもするのですから、「消費者金融から借りるなんて、バカだみたい」なんて、一概には言えないのです。
「他者に借りている」という点では、銀行相手でも消費者金融相手でも、同じことなんですよね……