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2006年04月12日(水)
戦争に負けるまで日本人にブスは少なかった

「週刊SPA!2006.4/4号」(扶桑社)の「トーキングエクスプロージョン〜エッジな人々」第428回・美容外科医・高須克弥さんと漫画家・西原理恵子さんの対談記事の一部です。

【高須:基準を作って、それに従わせることで統治するってのは帝国主義の手法なんです。今の世の中は欧米の帝国主義の基準、つまり白人の顔やプロポーションが美の基準になってて、胴長短足、一重まぶたで丸顔で……っていう伝統的な日本美人がブス呼ばわりされる。でも、戦争に負けるまで日本人にブスは少なかったんです。だから、僕の夢は美の帝国の皇帝になって、美の基準を自分の好みにしてしまうこと(笑)。

西原:この人の場合はシャレになんないから。全国の高須クリニックで毎日どれだけの娘さんが整形してんのかと思うとさ。

高須:美人ってのはバランスの整った人のことなの。口がすごく大きいとか、エラがすごく張ってるとか、どこか突出したものが一つあるとブスになっちゃう。だけど、それは”特異な才能を持っている人”と言ってもいいんでね、それを平均化しちゃったら、つまんない、パワーのない人間になる。それは顔だけじゃなくて、スポーツとか音楽とか、いろんな面で言えることでね、たとえば松井秀喜が字を読めなくたっていいじゃない。だから、ブスだって言われたら、「私、どこが目立っているのかしら」と喜んでもらいたいわけ。

西原:今の日本だと、若くて細くて小さな女のコ、それこそ小学生みたいな幼いコが美の象徴でしょ。

高須:男が弱くなってきてるから、そうなっちゃう。男がたくましくなれば、成熟したのがいいと感じるようになると思うんだけどね。僕の美の基準は白い肌で脂の乗った西原先生のような女性ですから。】

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 お笑い芸人の世界では、いわゆる「インパクトがある顔」というのはものすごく羨ましがられるらしいです。確かに、「整っているけれども印象の薄い顔」であるよりは、「一度見たら忘れない顔」のほうが良い場合というのは、けっして少なくないのかもしれません。
 先日、書店で、こういう雑誌を見かけたのですが、この表紙の女の子、綾瀬はるかさんのあまりに「ゆるい」表情に、僕はけっこう驚いてしまったのです。この子、こんなに垂れ目だったかな、とか、これで表紙になっちゃっていいの?とか。顔のパーツじゃありませんが、伊東美咲さんの声というのも、あの顔とかスタイルからすると、ちょっとギャップがありますよね。最初に聴いたときは、ちょっと「えっ?」って思いましたし。
 でも、よく考えてみると、こういう「ちょっとズレたところ」って、けっこう彼女たちのチャームポイントであるような気もするのです。完璧な造形のスーパーモデルも魅力的ではありますが、心に残る顔って、必ずしも「整っている」とは限らないんですよね。むしろ、そのはみ出している部分に魅かれることも多いのです。
 高須先生の夢は極論だとしても、今の日本の「美の基準」というのは、どう考えても「日本人にはクリアしがたい条件」ばかりが設定されてしまっているような気はします。そもそも、「金髪モスーパーモデル的な造形」を日本人が目指すのはかなり無理があると思うし、少なくとも日本の男の多くは、叶姉妹みたいな「ゴージャスさ」を求めてはいないはずです。それはそれで、「日本の男はみなロリコン!」とかいって、叩かれたりもするんだけどさ。
 そういえば、「みんなが染めないといけないような髪の色」というのが「スタンダード」になりつつあるのも、かなり不自然ですよね。

 ちなみに、西原さんは【先生が言うには、年取ったら、顔を取るかスタイルを取るか、どっちかだと。つまり若い頃のスタイルを保とうとすると、顔はシワだらけの干し柿バアサンになっちゃう。でも、私みたくデブだと、シワもないし、ツヤツヤしているという(笑)】なんて仰っています。
 結局、「完璧」というのは、ものすごく不自然なものなのかもしれません。