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2006年01月15日(日) ■ |
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三谷幸喜さんと井上由美子さん |
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「週刊SPA!2006.1/号」(扶桑社)の「トーキングエクスプロージョン〜エッジな人々」第417回・三谷幸喜さんのインタビュー記事です。取材・文は橋本達典さん。
【インタビュアー:今年はお正月から、『古畑任三郎ファイナル』『新選組!!土方歳三最期の一日』、そして映画と、三谷ブランドの作品が続々と発表されて、ファンは喜んでいると思います。
三谷:本当はそれは僕が望んでいた状況ではなくて、脚本家なんていうのは前面に出ずに、例えばすごく面白い映画を見て、ドラマを見て、お芝居を見て、あとになって調べたら、「これ、みんな同じ作家が書いてたのか」っていうのが、一番カッコいいと思うんですよ。どんなジャンルの作品でも書き上げてしまう、いいものを書く、そんな、それこそ職人作家に憧れていたんですけど。でも、そういうふうにならなかったですね、僕の人生は。最近では、もうしょうがないやって思ってますけど。だから今、一番、僕が憧れるのは井上由美子さんですね。本当はああいう人になりたかった。すべてにおいてちゃんと成果を残していらっしゃるし。かといって、いい意味で井上ドラマだっていうふうにならないじゃないですか。そういうスタンスを保っているところがカッコいいですよね。】
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参考リンク:井上由美子(Wikipedia)
確かに、三谷幸喜という人は、良い意味でも悪い意味でも、脚本家として「キャラが立ちすぎてしまっている」のかもしれませんね。「振り返れば奴がいる」から、「王様のレストラン」「古畑任三郎」「新選組!!」などのテレビドラマ、そして「笑の大学」「オケピ!」などの舞台作品の大成功で、「日本で一番有名な脚本家」として、その作品は総じて「三谷作品」とひとくくりにされてしまいがちです。もちろんそれは有名税みたいなものでもあるでしょうし、逆に「総理と呼ばないで」や「竜馬におまかせ」のような「コケた三谷作品」もよく知られてしまっているという一面もあるわけで。これほど「(視聴率的に)失敗したドラマ」が「脚本家」とともに語られるのもまた、三谷さんだけではあるのですよね。もともと「東京サンシャインボーイズ」という劇団で役者もやっていたので、照れ屋ながらも人前に出るのが嫌いでもないし、慣れているということもあって、つい露出してしまうのかもしれませんが。 しかし、ここで三谷さんが名前を挙げられた井上由美子さんは、上記の参考リンクにあるように、『GOOD LUCK!!』や『白い巨塔』などの様々なドラマの脚本を書かれているヒットメーカーでありながら、その名前を知っている人は、一部の「ドラマ通」に限られているのではないでしょうか。少なくとも「三谷作品の好き嫌い」が語られる機会に比べれば、「井上作品の好き嫌い」というのが語られる機会は圧倒的に少ないと思われます。こうしてみると、井上さんの作品にも「木村拓哉さんと組むことが多い」とか、「レーサー」とか「医者」とか「パイロット」などの「専門職」の世界を描くのが好きなのかな、という印象を受けるのですが、三谷さんほどの「作品に共通したイメージ」はなさそうです。逆に、それだけ臨機応変に書けるからこそ、「大ヒットさせなければならない」キムタク主演ドラマに起用されることも多いのでしょう。 もう、三谷さんは井上さんのように「作品をまず観てから脚本家の名前を調べられる存在」になることはないと思いますが、三谷さんが「職人」としての井上さんに憧れるというのは、ものすごくわかるような気がします。新作映画『有頂天ホテル』なんて、自ら「三谷ブランド」を最大限に利用してプロモーションをされているのですが、その一方で、心のなかでは、「三谷作品」という先入観なしに作品を観てもらいたいときもあるのでしょうね、きっと。
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