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2005年08月25日(木) ■ |
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ジョン・レノン vs 物質文明 |
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「我が妻との闘争」(呉エイジ著・アスキー)より。
【かのジョン・レノンは、息子のショーンに、いかにも彼らしいしつけをしたそうだ。 ショーンがある日、おもちゃを欲しがった。ジョンはお金持ちだからすぐに買ってくる。ショーンはおもちゃに飽きて、新しいおもちゃをせがむ。ジョンはまた買ってくる。そしてだんだん飽きるスピードが速くなっていったある日、ショーンが自室のドアを開けると、そこにはおもちゃが部屋いっぱいに山積みされていた。なんと、ジョンはおもちゃ屋を一軒買い取ったのである! おもちゃの山を見たショーンは、物質文明の不毛を見抜いた。それからはおもちゃをねだることもなくなり、海に行って貝を大切にしたりするような子になったそうだ。 このエピソードを聞いた私は、「私もジョンのような父親が欲しい」と、なーんもわかっとらん受け止め方しかできず、教訓にもならなかったのだが…… それにしてもさすがはジョン・レノン。やることが豪快である。しかしながら、彼の息子でも何でもない私はまったくもって物質文明の虜である。「消費文化に流されてはイカン。大切なのは『心』だ」と思いつつも、浮いたお金は「モノに換えておこう」の心理が働いてしまう悲しい性……。】
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このジョン・レノン親子のエピソードには、僕も感動してしまいました。愛する息子に「物質文明の不毛さ」を教えるために、お説教や叱責ではなく、ごく自然に、息子が自ら悟るようにお膳立てをしたジョン!そして、それに応えたショーン!ああ、なんてすばらしい親子関係!!
…なわけないだろ! よほどの「信者」でもない限り、このエピソードを素直に「美談」として受け入れられる人は、少ないように僕には思えます。まあ、一般的な生活レベルの親達は、いくら「教育」のためだからといって、「おもちゃ屋を一軒買い取る」なんてことはできませんし。 そもそも、「おもちゃ屋のおもちゃが全部入る部屋」って、いったいどんな部屋なんだろう…?しかも、相手は子どもなのに。 「教育」というよりは、「どっきりカメラ」に属するのではないか、とすら思うんですけどね。ジョンの方だって、ショーンはどんなリアクションをするのかな」とワクワクしていたのではないでしょうか。 確かに、これはひとつの「方法」ではあるんですよね。欲望なんていうのは行き着いてしまうと、かえってむなしくなってしまう場合も多いのだろうし。それこそ「結婚する前に遊びつくしておいたから大丈夫」みたいな胡散臭さも無きにしもあらず、なのですが。 でも、「今度は、このキレイな貝が獲れる海を自分のものに!」とか、果てしなく野望が広がっていくとか、そういうことってないのかなあ。
お願いだから、誰かこういう方法で、一度でいいから僕にも「物質文明の不毛」を教えてほしいものだ、とか考えてしまいます。なんでも手に入る人生というのは、それはそれでつまらないものなのかもしれないけど。 だから「心」が大事だとかいうことで、新興宗教にハマってしまうというのも、またそれはそれで不毛だし。
たとえばビル・ゲイツさんとかは、何が楽しみで生きているのだろう?
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