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2005年08月24日(水)
「1万円カレー」と、1億円でも食べられないカレー

毎日新聞の記事より。

【1杯1万円のカレーライスが9月、「横濱カレーミュージアム」(横浜市)で発売される。米沢牛や北海道・十勝の玉ネギ、スパイス40種類を使うなど、食材にこだわった。通信販売も行う。
 「究極の萬カレー」と名づけたカレーは、同ミュージアムが4月ごろから最高級品を作ろうと準備を開始。食材は肉だけでなく、米は山梨県の武川米、ニンジンは群馬産、セロリは長野産と最上級品ばかりを集め、スパイスも10カ国以上のものを使用。その結果、値段が跳ね上がった。「スパイスを豊富に使っているのに、上品なコクを楽しめる味に仕上がった」という。
 1日から30日まで提供するが、2日前までの予約が必要。また、小学館の雑誌「ダイム」のホームページを通じて1日から15日まで、限定1000食で通信販売の申し込みを受け付ける。】

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 僕はこの年になってもカレーが大好きで、「味覚がオコサマ」なんて、いつもバカにされてしまうのですが、僕がまだ子供だった20年以上前に比べると、「カレー」という食べ物の性格は、ずいぶん変わってしまったような気がします。
 僕が子供のころ、もっとも馴染み深かったカレーは、あの西城秀樹がCMをやっていた「リンゴとハチミツ入り」の「ハウスバーモントカレー」でした。ときどき友達の家に遊びに行ったときに出てくる「ジャワカレー」なんていうのもそれはそれで大人の味っぽくて新鮮ではあったのですけど、やっぱりバーモントカレーが「定番」。僕の好みに合わせて、ジャガイモがたくさん入って、ニンジン少なめのカレーは、最高のごちそうだったのです。
 「なんでカレーなのに、リンゴとかハチミツなんて入ってるの?気持ち悪いなあ」とか、子供心に考えていたりもしたんですけどね。
 そして、同じ「バーモントカレー」でも、家によって微妙に味が違っていたような気もします。
 僕が一人暮らしをするようになったころには、カレーライスは「日常の食事」になりました。もちろん、今みたいに専門店がたくさんあるわけではないので、家で食べていたカレーの仲間みたいなものを学食とか定食屋、あるいは家でレトルトカレー、というパターンが多かったのですけど。
 最近では、Coco壱番屋などのカレー専門店でカレーを食べる機会が増えましたが、「本格的でスパイスが効いたカレー」というのは、美味しいと思う一方で、正直、ちょっと胃が痛くなったり、食べ飽きたりもするのです。「本格的なインドカレー」なんていうのは、僕にとっては「ごくたまに食べれば満足な食べ物」であり、僕の中の「カレー」とは、違ったポジションにあるのですが、家で昔食べていたような「昔ながらのドロリとしたカレー」というのは、30過ぎの独身男にとっては、なかなか「近くて遠い味」だったりするのです。
 なんでも「おふくろの味」なんてことを言うのは、なんだか情けないように思えるけれど、ことカレーに関しては、僕にとってのナンバーワンというのは、やっぱり、母親が作ってくれた、何の変哲もない「バーモントカレー」なんですよね。本当に、作る側ですら「またカレーでいいの?」なんて、あきれながら作ってくれていたっけ。
 僕はこの記事を読んでいて、この1万円のカレーも悪くないけれど、それよりも、もう一度でいいから、母親が作ったカレーをおなかいっぱい食べたいものだな、と思っていました。
 今はもう、1億円積んだって、母親の作ったカレーを食べることはできないのですけれども。
 失って初めてわかる、最高のカレーの味。