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2005年07月06日(水)
「料理のまずい国」の大逆転劇

読売新聞の記事より。

【6日開幕の主要国首脳会議を前に、シラク仏大統領がロシア・カリーニングラードで3日、プーチン露大統領、シュレーダー独首相と会談した際、英国と米国を皮肉る冗談を飛ばす一幕があった。
 4日の仏リベラシオン紙によると、シラク大統領は、欧州連合(EU)の農業補助金問題で対立している英国について、「彼らが欧州の農業にもたらしたのは、BSE(牛海綿状脳症)だけだ」と述べた。
 大統領は発言をエスカレートさせ、「我々は料理のまずい国の国民は信用できない」と英国を皮肉り、「フィンランドに次いで、その国(英国)は料理がまずい」と言い放った。
 プーチン露大統領はハンバーガーを米国になぞらえて、「ハンバーガーはどうだろうか」と質問。シラク大統領は「いやいやハンバーガーも全く駄目だ」と答えたという。
 米英仏独露の5か国は主要国首脳会議のメンバー。EU予算や2012年五輪開催都市(パリ、ロンドン)で火花を散らす英仏の感情的対立が“飛び火”し、首脳会議に微妙な影響を与える恐れもある。】

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 よく「フランス人と中国人はプライドが高い」なんて話を耳にしますが、それにしてもこのシラク大統領の「冗談」は、歴史に残る「失言」になりそうです。
 僕は海外(とはいっても、アメリカ、オーストラリア、韓国しか行ったことがないんで大きなことは言えませんけど)に滞在していると、「やっぱり食事は日本が一番!」と思えて、日本食が恋しくて仕方なくなるのです。いや、「ボンカレー」でさえ懐かしくなるのですよこれが、あっ、でも「ボンカレー」はインド料理(?)なのか。
 ただ、いくらなんでも、そういう「愛食心」を、こういう場で発露することはなかったのに、という気はします。そりゃあね、イギリス料理は美味しくないと言われることは多いようですが、いくら「いやあ、うちの女房の料理は不味くてねえ…」なんて日頃愚痴っている人でも、他人に「お前の家のメシは不味いなあ!」と言われれば、腹が立つのは当然なわけで。
 フランスとイギリスという2つの国は、まさに「歴史的ライバル」であり、この程度のイヤミは、「冗談」なのかもしれませんが、聞いている側だて、シラク大統領を「デリカシーの無い人」だと思いますよねこれは。
 とばっちりを受けたフィンランドだって、いい面の皮だろうけど。

 確かに、フランスという国は食文化にかけては、中国と並んで、世界の中心のひとつではあります。でも、「食文化」なんていう言葉があるように、食べ物というのは、ある意味、そこに生きる人々の「象徴」でもあるのです。そのうえ「料理のまずい国の国民は信用できない」とまで言われちゃあ、黙ってはいられませんよね。両国間の諸問題で、シラク大統領の、そして、フランス国民のはらわたが煮えくり返っていたり、フランスとイギリスの間では、歴史上繰り返されてきた「ジャブの応酬」みたいなものであっても、むしろ、それを傍観していた周りの国のほうが、これでは引いてしまいます。「自分たちだって、こんなふうにバカにされているんじゃないか?」と。
 イギリスのブレア首相は、この件に関して、あえて批判的なコメントはせずに、「大人の対応」に終始していたそうなのですが、今夜、2012年のオリンピック開催地が、最有力と目されていたパリではなく、ロンドンに決まった裏には、この「失言」の影響もゼロではなかったような気がします。

 参加する選手たち(7年後だけど)の率直な感想としては、「ごはんが美味しいパリのほうが良かったのに…」だったのかもしれないんだけどさ。