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2005年04月18日(月) ■ |
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商店街のある街 |
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「九州ウォーカー」2005.No.9(角川書店)の川上弘美さんのインタビュー記事より。
(川上さんの新作「古道具 中野商店」(新潮社)についてのインタビューの一部です。)
【川上「商店街のある街に住むのが好きなんです。時々はデパートにも行きますが、普段は街の商店の人と顔を合わせて、話をしたりしながら買物をしたい。本当はちょっと怖くもありますが…。子供のころを思い出しても、おつかいに出されて豚肉100g!とか言うのって勇気がいりましたよね? でも怖いけど、人と会える場所が好きで通ってしまうのかも。矛盾した感覚かもしれませんが」】
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このインタビューを読んでいて、僕は自分がはじめて買物に行ったときのことを思い出しました。確か「カレーに入れる肉を買ってきて」とか、そういうおつかいだったと思うのですが、僕はなかなか店の人にそれを言うことができずに店の付近をうろうろした挙句、どの肉だかわからずに店のおばちゃんに「カレーに入れる肉をください…」とボソボソとした声で言い、「何グラム?」と聞かれて、わけもわからず「じゃあ、100gでいいです…」と答えて、なんとか目的のものを買ってきたのです。 と思いきや、そのあと母親は「ああ…うちのカレーにいつも入れているのは、この肉じゃないし、100gだと少ないんだけど…でも、よくがんばったね」とかなんとか言って、僕をひどく落胆させたのですけれど。
それがトラウマになったわけではないでしょうが、僕は今でも、小さな店に入って、店員さんとマンツーマンになるような状況は苦手です。 よく週末の昼下がりにテレビで流されているような「人情あふれる下町の商店街」で、名物おばちゃんと気さくに話しながら買い物をしたりするのを見ていると、ああいう世界に憧れないわけではないのですが、どうも、ああいうふうに見ず知らずの人に対して馴れ馴れしくできないのです。古くからのつきあいの常連さんとかならともかく(でも、常連だからという理由で馴れ馴れしくするのも嫌い)。 でも、そういう場所でひとり肩肘張って礼儀正しくしようとするのも変だし、だからといって、うまく馴れ馴れしくしようとするのも、かえって気を遣うものだし。 それに、あまりお客さんがいない店に入って、店員さんにずっとマークされたような状態になるのって、何か買わないと出られないのじゃないかなんて、プレッシャーを感じることもあるのです。 すべては、自意識過剰のなせるわざ、なんでしょうけどね。
というわけで、僕にとっては「商店街」というのは、なるべく正面を向いて、脇見をせずに速足で通り過ぎる場所、なのです。 こうしてあらためて文章にしてみると、自分でもバカバカしく思えて仕方ありませんが……
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