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2005年03月21日(月)
「何もない携帯電話」の逆襲

『日経ベストPCデジタル』(日経BP社)2005年4月号の連載コラム「サンプラザ中野のデジタル武道館」より。

(iPod shuffleが液晶を「切捨て」て、小さく・安くしたことによって成功したという話のあとで)

【つい最近、液晶を切り捨てて売れた商品がもうひとつある。それはツーカーの携帯電話「ツーカーS」だ。お婆ちゃんの原宿「巣鴨」で、老人に試用サービスを仕掛けた。液晶のない初めての携帯電話。家の電話と同じ感覚でかけられる簡単さに、彼らは飛びついた。説明書なしでも使える・バッテリーも約1ヵ月持つ、のだそうだ。液晶がないと良いことがあるじゃあないの。】

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 ちなみに、「ツーカーS」というのは、こんな携帯電話です。
 「普通の携帯電話」に慣れてしまっている僕からすれば、この製品のあまりの「シンプルさ」に、何か落ち着かないというか、本当に大丈夫なのだろうか、という不安な感じさえするのですが、確かに「普通に電話として使うのなら、これで十分なんじゃない?」と言われれば、その通りではあるんですよね。「液晶がないと、誰からかかってきたかわからないから心配」とか「電話帳のメモリー機能がないと、相手の電話番号がわからない」とか考えてしまうのですが、そういう機能は、自宅での固定電話か公衆電話しかなかった時代には、「無くても別に困らない機能」だったのですから。現実的には、今の僕にとっては、それらの機能とかメール機能というのは「必要不可欠」になってしまったのですけど、それらの機能を使いこなすための「多少の努力」をすべての人に強要するのが正しいのかと言われると、必ずしもそうではないだろうな、とも思うのです。
 僕は1年くらい前にHDD付きのDVDプレイヤーを買ったのですが、電器製品フリークの悲しき性で、つい、「高機能・多機能」の機種を選択してしまったのです。もちろん、それなりのお金を出して。
 でも、実際に1年使ってみた感想は、「細かい編集機能とか、設定変更なんていうのは、今の僕には使いこなせない」というものだったのです。自分では「こんな機能があったほうがいい」と思って買ったにもかかわらず、使ったのは、最低限の録画・再生機能と、せいぜい録画時間の標準モードと長時間モードに切り替えくらい。まさに「宝の持ち腐れ」という感じ。そして、あまりの多機能さのおかげで、逆に「このタイマー録画を途中で終了するにはどうすれば…」というような、簡単なはずの操作も、なかなか感覚的にできなかったりもするのです。こういうのは、年齢に伴う「電脳力」の低下が主因なのでしょうが、携帯電話にしても、あの分厚いマニュアルを全部読みこなして活用している人の割合がどのくらいいるのかと考えると、「機能は多ければ多いほうがいい」という時代はもう過去のものになってしまっていて、「どれが自分にとって必要な機能か」というのを選ぶ時代になりつつあるのかもしれませんね。やっぱり「慣れている操作」というのは、なかなか捨てがたいものではありますし。多彩な編集が可能なことが売りだったはずのDVDプレイヤーで、最近では「ビデオ(VHS)と同じ操作感覚!」というような売り文句があるくらいですから。

 まあ、「ツーカーS」のような携帯電話が「主流」になることはなくても、こういう携帯のほうが「便利」だと感じる人が、今後は増えていくような気がします。僕が今使っているFOMAなんて、毎日充電を意識していないとすぐにバッテリー切れを起こすので、電話としての確実性を考えるなら、こういうシンプル携帯のほうが、はるかに「使いやすい」ですよね。
 それにしても、こういう電器製品の「新しい機能」というのは、実際に使いこなすのは、なかなか難しいものですね。
 買うときは「こんな機能も、絶対にあったほうがいい!」と毎回思ってしまうのだけど。