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2005年03月11日(金) ■ |
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「一生酒は飲まない」「たばこは一生吸わない」 |
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毎日新聞の記事より。
【強制わいせつ容疑で現行犯逮捕された自民党の中西一善衆院議員(40)は11日、東京都内のホテルで記者会見し、「許されない行為により、女性を傷付け、国会議員の信頼を損ない、誠に申し訳ありませんでした」と謝罪した。同議員は「一生酒は飲まないつもり」とし、今後の身の振り方については「全くの白紙。謹慎し、自分を見つめ直したい」と述べた。 中西議員は事件について、警察の取り調べ中である点と被害女性に配慮し、詳細には明らかにしなかったが、9日夜は所属する亀井派の会合に出席した後、10日午前0時過ぎまで友人らと酒を飲んだ後、さらに1人で酒を飲んだという。合計で「赤ワイン1本、焼酎ボトル半分、ビールを2〜3本」飲み、六本木の路上で客引きなどをからかいながら歩き、被害女性と会ったという。 中西議員は「元来、酒は強くない」と話したが、大量の酒を飲んだことについて質問され、「(自分の)弱い所で欠陥だと思う。気が大きくなって理性的な判断が出来なくなっていた」と釈明した。また政治の仕事をするのかと尋ねられると「反省の気持ちと愚かさに思いをいたし、自分の進路は考えられない」と述べるにとどまった。 中西議員は約30分の会見の間、終始伏し目がちで、振り絞るように話していた。会見終了後、立ち上がって、テーブルに頭がつくほど下げ、会場を後にした。】
【日本ハムは10日、喫煙問題で謹慎していたダルビッシュ有投手(18)の処分を解除し、11日から練習に参加を認めると発表した。札幌市豊平区の球団事務所で会見したダルビッシュ投手は「自分の軽率な行動がファン、関係者に多大なご迷惑をかけた。本当に申し訳ありません」と、深々と頭を下げ「たばこは一生吸わない」と報道陣を前に誓った。 ダルビッシュ投手は「生活を根本から改め、喫煙、飲酒、暴力など、法を犯す過ちを二度と起こさないことを誓います」と語り、計3回頭を下げた。2月20日からの謹慎期間中に体重は1〜2キロ増えたが、キャンプ中に痛めたひざの調子は回復したという。 会見には今村純二球団社長、島田利正・チーム統轄本部長、岡本哲司・2軍監督が同席した。9日に、千葉県鎌ケ谷市の二軍の合宿所でダルビッシュ投手と会った今村社長は「本人は、ことの重大さを再認識している。毎日書いた日記に、反省と自己管理の大切さについて記されていたことなどから解除を決めた。今後も2軍監督が毎月2回程度教育する」と述べた。】
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「ワイセツ議員」なんてタイトルの記事になってしまうようでは、中西氏の前途は真っ暗、としか言いようがありません。キャッチフレーズは「一日一善」だったそうですが、「酒に酔って気が大きくなっていた」からといって、こんな不祥事を起こすような人では、あまり偉くなる前にこういう結果になったことは、むしろ日本という国としては、よかったのかもしれませんが…でも、この人の会見を観ていたら、いかにも「日頃真面目なんだけど、酒に飲まれてしまうタイプ」みたいに見えて、ちょっとかわいそうにも思えました。僕にもそういう傾向はあるし。 とはいえ、彼がやったことは本当に恥ずべきことで、非難されるのは当然ではあるんですけど。 中西氏に比べれば、ダルビッシュのほうは「とりあえず誰にも迷惑はかけていない」ということで、比較的軽いお咎めになったようです。「生活を根本から改め、喫煙、飲酒、暴力など、法を犯す過ちを二度と起こさないことを誓います」なんていうコメントを聞くと、今までさんざん、これらの「法を犯す過ち」をやってきたんじゃないか?とか、つい考えてしまうのですが。そもそも、今回の時間の前にだって、「喫煙疑惑」が、写真週刊誌に出ていたというのに。「反省日記」を日本ハムの球団社長が読んで、「改悛の情」を認めたということらしいのですが、いっそのことブログで公開して、容赦のないコメント攻撃にさらしてみたらどうか、などと僕は思っていたんだけどなあ。 でも、もともとダルビッシュは、楽天の一場投手と並んで、「ヒール(悪役)」のイメージでしたから、今回のことも「なんでそんな見つかるようにやるのかなあ…」という感じでもあったんですけどね。実際、大学生になればほとんどお咎めなしで18歳でもお酒飲んだりしているわけだし、ましてや自分でお金を稼いでいる野球選手ともなれば、それはもう「個人の責任」なのではないか、という気もします。もちろん、アスリートとしては、若い時期からの喫煙がプラスになるとは思えませんが。
ところで、この2人の会見を観て僕がいちばん印象に残ったことは、「一生」とか「もう二度と」というふうに、2人とも発言したということでした。ダルビッシュに対しては、「ウソつけ!」とテレビの前でツッコんだ人は大勢いそうですし、中西氏にしても、そういう不名誉な理由で社会からスポイルされた人の末路というのは、某田代さんを見てもわかるように、「酒でも飲まなきゃやってられない」あるいは「クスリに走ってしまう」という可能性も高いのです。むしろ、これからの人生のほうが、もっと辛くて長い道のりになるはず。「飲まないつもり」なんて「つもり」になっている時点で、彼の決心のほどが知れる、というものです。1年ももたないのでは…というのは、あまりに過小評価でしょうか。 ダルビッシュはまあ、この「約束」はしばらくすればみんな忘れてしまうでしょうし、5年後に彼が一流選手になって酒を飲んでも、みんな忘れたフリをしてくれるでしょうけど(20歳過ぎれば、法律違反じゃないしね)。
僕は思うのですが、「一生○○しない」なんて言う決心を実行できるような意思の固い人は、そもそも、こういう過ちを犯さないのではないでしょうか。自分自身も含めて「一生○○しない」という固い決心は、まさに、「もういいだろ」と解禁されるようにあるようなもので、「一生結婚しない」はずの人の考えがひとつの出会いで変わったり、「一生浮気はしない」「一生ギャンブルはしない」なんて約束の達成率なんて、ものすごく低いように思われます。それでも、決心せざるをえないのが、人間の弱さであり往生際の悪さなのかもしれませんが。 本当は、できもしない「一生○○しない」という口先だけの約束よりも、禁煙治療を受けたり、酒を飲んでも飲まれないように自分を律するというトレーニングをしてみせたほうが合理的なはずなのに。嗜好品なんていうのは、気持ちだけでコントロールできるようなものではない場合も多いから。
それにしても、僕は誰かがこの「一生○○しない」という言葉を口にする姿をみると、その人への評価を少し下げたくなる衝動を抑えられないのです。 少なくとも、この2人にとっては、これからの「一生」は、長いものになるでしょうね……
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