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2004年12月19日(日)
アメリカと中国への「親しみ」

読売新聞の記事より。

【内閣府は18日、今年の「外交に関する世論調査」結果を発表した。中国に「親しみを感じる」と答えた人は前年より10・3ポイント減の37・6%で、同様の調査を始めた1978年以来、最低となった。
 「親しみを感じない」は同10・2ポイント増の58・2%に上った。
 内閣府は「中国が東シナ海でガス田開発を行ったり、小泉首相の靖国神社参拝に激しく抗議したりしたことに加え、サッカーの試合で日本チームにブーイングを浴びせた中国人観衆の対応が影響しているのではないか」と分析している。
 一方、韓国への親近感は「韓流ブーム」などの影響で前年比1・7ポイント増の56・7%となり、過去最高を更新した。
 この調査は、今年10月、全国の20歳以上の男女3000人を対象に行われた。回答率は68・9%。
 日中関係が良好だと思う人は28・1%で、前年の46・9%から18・8ポイント減少した。天安門事件の影響などで前年比16・2ポイント減だった89年を超え、過去最大の下げ幅となった。良好だと思わない人は61%で18・1ポイント増加。
 日韓関係が良好だと思う人は前年より4・3ポイント減少したが、55・5%と依然、高水準を維持した。
 その他の国・地域に親しみを感じる人の割合は、米国が71・8%、東南アジア諸国が41・5%、中東諸国が13・4%などだった。
 北朝鮮についての関心事項(複数回答)を聞いたところ、日本人拉致問題が88・3%と最も多かったが、前年より1・8ポイント減った。】

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 「日中関係が良好だと思う人」が、28%もいるというのは、かなり驚くべき結果のような気がしなくもありません。あのサッカー・アジアカップでの大ブーイングとか、靖国参拝問題に対する姿勢とか、潜水艦がやってきたりするのをみれば、どう考えても「良好」ではないのでは。まあ、「北朝鮮よりはマシ」というようなところで、判断している人もいるのでしょうけど。
 先日、知人が上海に行ってきたのですが、上海はすごい近代都市でビックリしたと話してくれました。ただ、ちょっと空気は汚れている感じだった、そうなのですが。
 もちろん、中国というのは広くて人口が多い国ですから、比較的都市化された上海などと内陸部の都市では全然状況は異なるのでしょうけど。
 ところで、彼女が話してくれたことで、ひとつ印象に残っているのは、「中国語は全然わかんないんだけど、漢字で書いてあるから、だいたいの意味はわかるのでそんなに苦労しなかった」ということでした。「中国語」というのは、世界でも使っている人の数が最も多い言語らしいのですが、「漢字」というのは日本人にとっては常日頃から親しんでいるものだから、ニュアンスはわかるようです。もっとも、そのつもりで中華料理店で注文すると、ちょっと日本人には抵抗のある食材(蛇とか猫とか)が出てくる、なんてこともあるらしいんでけどね。

 それにしても、「漢字」のみならず、日本と中国という国は、歴史的に深いつながりがあるのはまぎれもない事実です。その歴史の大部分は、日本にとって中国というのは「先進国」であり、中国から見た日本というのは、「わざわざ占領しに行くほどの価値もない、東の小島」であったとしても。
 「三国志」とか「西遊記」というような物語は、日本古来の文学作品より広く人口に膾炙していますし、「漢文」なんて、「国語」の1ジャンルとして扱われているくらいですから。
 中華料理というのは、もはや日本人にとっては懐石料理よりはるかに日常的な食べ物なのだし。

 そういうふうにして考えてみると、「中国に親しみを持っている」かどうかにかかわらず、日本という国は、中国と切っても切れない縁がある、と考えざるをえないのです。いや、正直なところ、今の中国の姿勢というのは、「日本が全部言いなりにならないと、納得してくれないの?」と疑問に思うようなものではあるのですが。
 とはいえ、中国というのは、文化的には、アメリカと並んで、今でも日本の文化に大きな影響を与え続けている国であることは、間違いないことなのです。親近感は薄くなっても、そういう伝統は一朝一夕には払拭できるものではないでしょう。

 現代の日本で生きる僕からすると、日中戦争は不幸な歴史だけど、それはそれとして、両国にとって新しい関係を築いていったほうがプラスになるんじゃないの?と思うのですが、「親しみを感じる国」として、米国が71・8%なんて数字を見ると、むしろ、日本人のほうが「忘れっぽい民族」というだけのことかもしれないな、とも思えてくるのです。いくら昔のこととはいえ、原爆を落とした国のほうに、サッカー場でブーイングをした国よりも圧倒的に「親しみを感じる」というのは、なんだか違和感もあるのです。

 まあ、どっちも「正しいことばかりやっている国」ではないということだけは、事実なんでしょうけど…