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2004年11月18日(木)
荒野の『ギター侍』

スポーツニッポンの記事より。

【人気若手お笑い芸人・波田陽区(29)が17日、東京・池袋サンシャインシティ・アルパ噴水広場で、CDデビューライブを行った。メジャーデビューシングル「ギター侍のうた」を同日発売。持ちネタの「残念!」「って言うじゃない」「斬り!」の3つが流行語大賞にノミネートされるなど人気急上昇中。熱いパフォーマンスで、集まったファンらを沸かせた。
 「♪流行語大賞〜、流行語大賞〜、ノミネート60個が決まったよ。その中でも“ヨン様”がNo・1大賞を取りますよ、って…言うじゃな〜い。でも…一番はやったのはヨン様ファンのオバさんですから!残念!だんな様はほったらかし斬り〜っ!」
 イベント会場には平日の夕方にもかかわらず、土、日並みの2000人が詰め掛けた。太鼓や三味線など5人のバックコーラスを従え、新曲を披露。多くの長寿番組を持つ明石家さんまに対して「でもあんた結婚生活はすぐおわっちゃいましたから」、紅白歌合戦の常連の和田アキ子に対しては「でもあんたどうみても白組ですから」。
 現在、人気急上昇中。侍の風貌(ふうぼう)にアコースティックギターを抱え、有名人を毒舌で“斬りおとす”スタイルがウケている。
 日本テレビ「エンタの神様」に出演し、お茶の間デビューしてから約8カ月。これまで堺正章や関口宏、優香、小泉首相まで、斬ってきた著名人の数は100人に上る。
 1年を振り返り「半年前までやっていたコンビニのバイトを辞めたぐらいで何も変わっていない」と謙虚なコメント。
 しかし、先月29日に発売された著書「ギター侍の書」は10万部を売り上げ、12月1日にはDVD「ギター侍は波田陽区」の発売も決定するなど絶好調。
 斬られたタレントから「許さない」と狙われているという毎日。「10年以上彼女がいない」と嘆くが、これから周囲の熱い視線を浴びる日々が続きそうだ。】

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 大人気の「ギター侍」こと波田陽区さん。有名人を容赦なく「斬る」というのが持ち味なのですが、こういうスタイルというのは、人気が出れば出るほど難しくなってくる面もあるようです。先日は、某化粧品メーカーを斬ってしまったばかりに、そのメーカーがネタをオンエアしたテレビ局のスポンサーから降りるという騒動もありましたし。もっとも、【斬られたタレントから「許さない」と狙われているという毎日】というのは、どこまで信憑性があるかわかりませんけど。
 コロッケさんは、モノマネしたタレントから感謝されているらしいし、「替え歌メドレー」の嘉門達夫さんは、♪きっと君は関西人〜(原曲は、山下達郎「クリスマス・イヴ」) とか、替え歌をやっているすべての原曲のアーティストたちに許可を得ているそうですし(中には、「どうしても使用許可がもらえなくて、お蔵入りになった」というネタもあるのだとか)。おそらく「ネタにされるのも有名税」という業界だから、芸能人同士では、内心面白くなくても、目くじらを立てにくいところもあるでしょう。もっとも、波田さんも「テレビでやれるネタ」とか「CDに収録できるネタ」というのは、「ステージ上の目の前の観客の目にしか触れない状況でやるネタ」とは、多少違っていたり、内容を変更せざるをえないところもあるかもしれません。今のように大人気になってしまうと、なおさら、ね。
 井戸端会議でマダムたちが芸能人にどんなに酷い悪口を言っても、「ほとんど実害がない」ので訴えられたりはしませんが、これだけ露出が多くなってしまうと、良くも悪くも「影響力」が出てきますから。

 「やたらと他人の悪口ばかり言っている人」というのは、「ある程度他人に悪口を言われても仕方がない」というのが一般的な感覚でしょう。となると、「ギター侍」は、本当にいつ刺客に斬りかかられてもおかしくないのも事実。「ネタ」だからといって、喜んで観てくれるファンだけではなくて、「斬られた人」のファンの中には、それこそ目の敵にしてくる人だっているだろうし。僕が「毒舌」で売っているタレントたちを凄いと思うのは、彼らは、他人の悪口を言うかわりに、自分への反感をも引き受けなければならない、という点なのです。誰も見向きもしてくれなければ、リアクションそのものが無いでしょうが、売れれば売れるほど、そういう「反動」も大きくなっていくはずだし。

 今の「若手お笑い芸人ブーム」というのは、そういう意味では「ギター侍」にとっては、「喜んで斬られてくれる身内が多くて、助かっている」という面もあるのかもしれませんね。

 …それにしても、こういうお笑いのネタって、文字で読んでもあんまり面白くないですね。
 やっぱり、材料だけではなくて、「どう見せるか」というのが、腕のみせどころなんだろうなあ。