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2004年10月11日(月)
スカウトされたい女たち

日刊スポーツの記事より。

【大手芸能プロダクションに実在する社員をかたった偽スカウトマンが都内に出没し、女性から名前や住所などを聞く被害が続出していることが10日までに明らかになった。ヌードをほのめかしたり、詐欺目的だったりと形態はさまざま。大手芸能プロの多くはスカウト活動に関して厳格なマニュアルがあり「怪しい勧誘には用心してほしい」と呼び掛けている。
 大手芸能プロ「ホリプロ」では「実在する社員の名前をかたり、スカウトと称して女性を誘う男が頻出している。ここ数日間で女性側から問い合わせがあっただけでも6件。実際の“被害”はもっと多いと思われる」と頭を痛める。銀座、新宿、池袋、吉祥寺など若者でにぎわう都内のあらゆる繁華街に出没しているという。
 実在社員の名前と役職を印刷した偽造名刺を渡し「ファション誌の表紙に出ないか」と声を掛けるのが主なパターン。実際にスカウトされ芸能界入りした優香や藤原竜也などの名前を挙げながら、巧妙に連絡先を聞き出すケースもあったという。社員の名前や役職は、ホームページや紳士録などから入手しているとみられる。興味を示した女性から名前、住所、電話番号を聞き出し、後日、喫茶店での面接を持ち掛ける。「『表紙の仕事のほかにヌードになってもらう必要もある』と言われたのだが」とホリプロに問い合わせてきた女性もいるという。
 約3000人のタレント、モデルが所属するオスカープロモーションでも、実在社員の名前をかたった偽スカウトの被害があったという。入手した本物の名刺を使い、やはり「ファッション誌の表紙に出ないか」と声を掛ける。「オーディションの参加料として50万円必要」などと持ち掛けられた女性もいたという。数年前には女性側からの被害届を受けて警察が動き、2人が逮捕されたこともある。同社では「スカウトの際にこちらからお金の話をすることはありません」と話している。
 ここ数年、タレントと一般人の垣根が低くなり、スカウトされることを期待して渋谷や原宿を歩く女の子たちも多い。乙女心につけ込んだ最近の偽スカウト横行について、ホリプロでは「怪しい話には用心し、事務所に問い合わせてほしい」と呼び掛けている。】

参考リンク:「スカウトの悪徳手口公開」(恋愛科学研究所)

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 こういう「スカウト詐欺」って、僕が子供のころから新聞の三面記事や深夜番組で話題になっていたような気もするのですが…それでも、「一般人と芸能人の垣根が低くなっていること」や「ネットで簡単に本物のプロダクション社員のプロフィールが手に入るようになったこと」から、さらに手口が巧妙になってもいるのでしょうね。「普通、こんな手に引っかからないだろ…」というような甘い言葉にも「芸能界に入りたい人たち」は、「騙されてみよう」と考えるのかもしれませんし。
 それにしても、「ファッション誌の表紙に出ないか」なんて、出版社側の立場になって考えれば、表紙というのは雑誌の「顔」ですから、未知数の新人を起用するよりは、「表紙買い」してくれるようなタレントを使うはずです。そりゃ、スカウトキャラバンとかで優勝でもしていれば話は別だろうけど。少なくとも、まともな商業誌では、まずありえない話。
 
 ところで、「タレントになりたい」という人はかなり多いのだとは思いますが、一口で「タレント」とはいっても、実際のところピンキリみたいですね。僕は消費者金融のCMに出演されている井上和香さんとかを観るたびに「事務所のほうはきっと、稼げるうちに稼いどけ」と考えているんだろうなあ、とかつい感じてしまうのです。
 「アコム」のCMでブレイクした小野真弓さんのような例もあるわけですが、将来的に看板にするつもりのタレントさんにとっては、消費者金融のCMというのは、ヘタしたらマイナスイメージにもなりかねませんし。
 でも、そんなふうに「使い捨てられるんじゃない?」と思われるようなタレントたちだって、実はすごく恵まれているほうなのかもしれません。
 この記事には、オスカープロモーションに所属の3000人、と書いてありますが、たぶん、そのうち僕が名前を聞いて「ああ、あの人か」と顔と一致するレベルの売れ方のタレントというのは、100人に1人くらいのものだと思いますから。
 タレントと一般人との垣根が低くなっても、タレントと「売れているタレント」の間の垣根は、むしろ高くなっていたりして。
 本当は、「そういう話は全部ワナ」だと割り切れれば騙されることはないんでしょうが、「ワナかもしれないけど、騙されてもいい」という人は、けっこう多いのかもしれないな、という気もするのです。
 参考リンクにも書いてありますが、何の商売でも「自分の商品を大事にしない」ところは、うまくいくはずもないのにねえ。

 スカウトといえば、「最近街を歩いていても、水商売のスカウトの人から『働いてみませんか?』って声をかけられなくなって寂しい」という話を同僚の女性から聞きました。
 「えっ、そういうのって、『寂しい』の?」と聞き返すと、
「実際に水商売をやる気は全然ないし、声をかけられるとうざいけど、やっぱり、声かけられなくなると女として寂しいですよ」との返事。
 僕はそういう立場になったことがないからわからないのですが、やっぱり「そういうもの」なのでしょうか?

 この記事にあるような「どうして騙されるのかわからないようなスカウト詐欺」がなかなか絶滅したいのは、多かれ少なかれ「スカウトされたい」という気持ちをみんなが持っているためなのかもしれませんね。