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2004年09月22日(水)
インターネットは、「薔薇族」の夢を見るか?

asahi.comの記事より。

【同性愛専門誌の草分け的存在として、33年間続いてきた月刊誌「薔薇(ばら)族」が今月発売中の382号を最後に廃刊されることが決まった。伊藤文学編集長(72)は「不況で広告収入が激減し、これ以上の経営は困難と判断した」と話している。

 薔薇族は71年7月の創刊。「男同士の愛の場所は薔薇の木の下だった」というギリシャ神話から引用した。

 純文学関係の本を発行していた東京の出版社が経営母体となり、創刊時は1万部。当初は隔月発行だった。読者には大学教授や法曹関係者などもおり、作家の故寺山修司も寄稿していた。

 文通欄が人気だった。家族にも友人にも言えない悩みを取り上げるコーナーには月1000通以上の投稿があった。同性愛への差別やエイズなど社会問題にも取り組んだ。

 大手出版会社の流通ルートに乗せ、全国の書店に並ぶようになった80年代後半には毎月、約3万部を発行し、ほとんどを完売した。「タブーへの挑戦」を掲げ、発禁処分も4回あったという。

 だがここ数年、部数は低迷。現在は約3000。同様の専門誌が次々と刊行されただけでなく、インターネットが普及したことも響いたという。】

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 3000部、というのは、確かに商業詩としては厳しかっただろうなあ、と思います。編集長も72歳の御高齢の方ですし、「歴史的役割を終えた」というところなのかもしれませんね。
 僕は同性愛嗜好ではないので、この「薔薇族」という雑誌を読んだことはないのですが、「薔薇族」とか「さぶ」とかの「男性同性愛雑誌」というのは、失礼ながら「ネタとして」ラジオの深夜放送とかで取り上げられることも多くて、僕も雑誌の名前は知っていました。実際はどんな内容なのか純粋な興味はあったのですが(フンドシ姿の男が絡み合っているような写真が満載、なんていうのは、ある種の「好奇心」を刺激されますしね)、実際は大きな書店で何度か表紙を眺めたことがある程度だったのです。手にとる勇気は出なかったなあ。

 それにしても、この記事を読んでいて思ったのは、インターネットの普及というのは、今まで「アンダーグラウンド」に属していたものの「敷居」をどんどん低くしているのだろうな、ということでした。
 どう考えても「薔薇族」の文通欄に投稿するよりも、ネット上の同好の士の掲示板に書き込むほうが気軽だろうし、効率よく「出会う」こともできるでしょうし。まだまだ同性愛者に対する心理的な差別意識はあるでしょうから、「家族や友人にも言えない悩み」というのは共通なのでしょうが、それでも「薔薇族」の投稿欄に投書していた時代に比べたら、その「孤独感」というのは、かなり軽減されているのではないでしょうか。
 「ネット」というのは、「少数派」をダイレクトに結びつけるという意味では、まさに「革命的なツール」に違いありません。
 ただ、幼児ポルノとか反社会的宗教団体のような「困ったアンダーグラウンド」な人々にとっても、インターネットというのは格好のツールである、というのも否定できない事実ではあるのです。
 他人に迷惑をかけない限りは、趣味というのは個人の自由ではありますが、あまりに「反社会的なアンダーグラウンド嗜好」に対して寛容な社会というのは怖いなあ、とも思います。