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2004年09月09日(木) ■ |
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つらい「漁夫の利フィーバー」 |
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毎日新聞の記事より。
【マダイを養殖していた高知県土佐清水市あしずり港内のいけすが8月末の台風16号の影響で壊れ、ほとんどマダイが逃げた。湾内に回遊した数は約11万匹とみられ、この情報を県内外の釣り人が聞きつけ、同港は思わぬ「漁夫の利フィーバー」に沸いている。】
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「エビでタイを釣る」という言葉があるように、タイっていうのは、釣り人にとっては憧れの存在のようです。 そして、このいけすから逃げたタイのおかげで、このあしずり港では、タイがまさに「入れ食い状態」なのだとか。 今まで餌を人間からもらって生活していた魚が、自然界で自力で餌をとらなくてはならなくなったのですから、タイたちにとっても、餌を選り好みしていられない状況なのでしょうし。 しかし、このことを「漁夫の利フィーバー」なんて書いてありますが、僕はこれを読んでいて、「タイに逃げられた養殖業者は、たまらないだろうなあ…」とつい考えてしまうのです。 もちろん、一度海に逃げてしまえば、誰が釣ろうが「うちのタイ返せ!」なんて言える筋合いではないでしょうし、そういう恨みがましいことをこの業者の人たちが言っているという事実もありません。 自然を相手に仕事をしている人たちにとっては、「こういうこともあるさ」とあきらめられる範疇なのかもしれませんけど。
それにしても、こういうときに「他の人が逃がしてしまった魚をわざわざ釣りに行く」という行為に関して、僕はなんとなく割り切れないものを感じてしまうんですよね。世の中というものが、誰かが損をすることによって回っているにしても、顔が見える相手の不幸で自分が利益を得るというのは、やっぱり辛いものです。 この場合は、「火事場泥棒」なんて犯罪チックなものではないし、どっちにしても取り返すことはできないものだし、そもそも、11万匹なんて、釣り人が少々がんばってみても、その10分の1ですら釣り上げることはできないだろうし、致し方ないかな、というところなのかもしれませんが。 「タイの入れ食い」というのは、やっぱり気持ちいいだろうし、あんまり深刻になりすぎないほうが、お互いにとって幸せなんだろう、とも思います。
でも、もし僕だったら、自分が逃がした魚で「漁夫の利フィーバー」とかが起こったら、ちょっと落ち込みそうな気もするんですよね。
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