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2004年07月16日(金)
日本人の平均寿命「また」延びる

共同通信の記事より。

【2003年の日本人の平均寿命は女性が85・33歳、男性が78・36歳で、男女とも過去最高を更新したことが16日、厚生労働省の公表した「2003年簡易生命表」で分かった。男女とも2000年から4年連続で延び、女性は1985年から連続世界1、男性はアイスランド、香港に次ぐ3位だった。
 簡易生命表は、1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定した場合、平均してあと何年生きられるかを各年齢ごとに「平均余命」で表し、零歳児の平均余命が平均寿命になる。
 03年の平均寿命は前年に比べ、女性が0・10歳、男性が0・04歳高くなった。男女差は0・06歳広がって、過去最大の6・97歳。男性の自殺者が最多の2万3377人に上ったことが影響した。
 03年に生まれた赤ちゃんのうち、80歳まで生きる割合は女性が76・3%、男性は54・5%。半数が生存する年齢は女性88・09歳、男性81・35歳と予想され、女性の半数が米寿を迎えることになる。】

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 この記事は、Yahoo!のトップページでも紹介されていたのですが、その見出しは「日本人の平均寿命また延びる」でした。この「また」というところに、現代人の「長寿」に対する意識が反映されているのかな、と僕は感じたのです。
 少なくとも、僕が子供の頃(今から20年くらい前)は、「日本人の平均寿命が延びた」というニュースは、非常に明るい話題として取り上げられていたような記憶があります。食生活の改善や医学の進歩によって「長生きできる」というのは、「恵まれた国・日本」の象徴だったような印象すらあるのです。
 その頃は、自分が60歳とか70歳になるということ自体が、信じられなくもあったのですが。

 しかしながら、現在の日本で、30を過ぎた僕がこの話題を聞くと「長生きできる時代に生まれたこと」対する感謝の気持ちと同時に、「長生きできるのはいいけど、果たして、幸せな長寿になるのだろうか…」という不安も感じます。
 日本という社会全体からすれば、これだけ少子化がすすんでいるのに「女性では2人に1人が88歳(!)まで生きられ、男性でも2人に1人は80歳以上まで生きられる社会というのは、まさに「超高齢化社会」といえるでしょう。病気を持った方を診る機会が多い医療の現場でも、いまや70歳くらいでは「高齢だから」なんていう気持ちにはなりませんし。
 もちろん、こういうのはそれぞれの個性の問題で、年齢だけで判断できるものではないのですけど。
 それでもやっぱり、「若い人と同じように働く」というのは、難しい場合も多いでしょう。少なくとも人間の体というのは、寿命の延び方ほど急激に進化はしていませんから。
 そう考えると「若い世代の負担」というのは、今後も増す一方です。

 今まではただ、「長生きはいいことだ」とみんな思っていたのに、現代人は(自分や周りの人を除けば)「こんなに人間が長生きしてもいいのだろうか?」というような不安にとらわれているような気がします。
 年金問題もそうですし、介護にしても、「90歳の親を65歳の子供が介護している」なんて状況は、もうあまり珍しくなくなってきています。「高齢者の面倒をみていたら、気がつけば自分も高齢者」というのは、ある意味悲劇的な連鎖なのかもしれません。

 それでも、日本人の寿命が急激に短くなることは、おそらくありえないでしょう。生活習慣病などの影響で、少しずつ短くなる方向に行くとしても。
 だってみんな「日本人全体が長生きしすぎるのは不安だけど、自分や家族、友人には長生きしてほしい」って思っているのだから。
 そして、ひとりひとりの人間は、みんなそれぞれ「自分」であり、多くは「誰かの大切な人」ですし。

 「長寿」を手放しで喜べない時代というのは、歴史上、人類が経験したことのない時代だからなあ…