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2004年07月18日(日) ■ |
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「立ち合い出産」と「離婚率」の奇妙な関係 |
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「ザ・別れる理由」(宝島社文庫)より。
【淳子さんは現在、水中出産の経験を活かして、出産コーディネーターとして活躍している。職業柄、さまざまな夫婦に出会うが、えてして夫が立ち合い出産に積極的なカップルの方が離婚率が高いことを実感している。 「つまり、夫がイニシアチブをとらなくては気が済まないタイプで、こういう人にかぎって『オレがいなければお産が始まらない』と、勘違いしてしまうことが多いんです。そして、それは出産の場面だけでなく、結婚生活全般にわたって『夫主導型』になっていくことが往々にしてあります。もちろん、それでうまくいく場合もありますが、結婚生活は夫婦で築いていくものと考えている妻の場合は、そんな夫のやり方に不満が出てきてしまうんです。出産してから半年、一年経つうちに、こうすればよかったというのが、はっきり出てくるんですよ。そのときにケンカできる夫婦ならいいけど、そうじゃない夫婦は危ないですね」】
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「夫が立ち合い出産に積極的なカップルの方が離婚率が高い」というのは、この方の実感であって、統計的に実証されているわけではないのですが、これを読んで、僕も「そういうものかもしれないな」と思いました。 もちろん、「立ち合い出産」というのが悪いことだという気持ちは更々無いのですが、確かに、こういうところにその人の性格は出るのだろう、と。
世の中には、けっこう「なんでも自分が中心だと考えている人」というのは多くて、例えば、部活の試合を応援に来て、そのチームが負けてしまったら「自分が応援に来たから負けた」とか「自分の応援が足りなかったから負けた」とか口にする人というのは、時折目にすることがあるのではないでしょうか?試合をしていた当事者は、内心「そんなの直接関係ないだろ…」と思いつつ、自分が負けて悔しい上に、その人を慰めなくてはならず、かえって辛い思いをすることになるわけです。まあ、誰でも「自分」というフィルターを通してしか世界と接することができないわけですから、多少なりとも「自分が中心」なのはまちがいないわけですが。
「出産」というのは、夫が立ち会わなくても可能なのだけど、多くの「立ち会う夫」は「妻と子供の身が心配だから、いてもたってもいられず」とか「妻を安心させるために」、その現場に身を置くわけです。それは、ものすごく自然な感情だと思います。 出産というのは、やっぱりリスクがある行為ですから。
でも、人によっては「立ち合い出産を進んでやる、進歩的な夫」としての自分を他者にアピールするために、積極的にかかわっていく場合もあるみたいです。前述した「応援したい」という気持ちよりも「応援している自分の力をアピールしたい」という気持ちが優先されてしまう人。 そして、そういう人は、妻からすれば、えてして「自分のことしか考えていない、迷惑な夫」であったりもするのです。 妻からすれば「周りの人々からいい夫だと思われる」ことよりも「自分にとっていい夫である」ことのほうが大事なのに、夫のほうは、いつのまにか「世間に対する自分のイメージ」を優先するようになってしまうという、皮肉なパラドックス。
実際、こういう人って、けっして少なくない気がします。 誰かのためのボランティア活動というより、自分をアピールするためのボランティア活動になってしまっている人とか、「動物好きな自分」をアピールするために、傍からみたら「動物にとっては迷惑なんじゃないかそれは…」と思うような愛情の注ぎ方をしている人とか。
まあ、ボランティア活動というのは、ある意味そういう人たちによって支えられている面もあるのだし、それで助かっている人がいれば、一概に否定できないところもあるんですけどねえ。
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