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2004年04月26日(月) ■ |
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ネットは、「罪悪感」をも希薄化するのか? |
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共同通信の記事より。
【製菓大手の不二家の店舗で「ペコちゃん」の人形を盗んだとして、群馬県警大胡署は26日までに、窃盗の疑いで住所不定、無職の男(42)を逮捕した。 不二家によると、今年1月から東日本の9都道県31店舗で「等身大」(高さ110センチ)のペコちゃん人形が店頭から盗まれる被害があり、同署は関連を調べている。 調べでは、男は22日午後3時半ごろ、大胡町堀越の不二家大胡店で、ケーキを注文しているすきに、ショーケースの上からオルゴール付きのペコちゃん人形(高さ約50センチ)を盗んだ疑い。「ネットオークションで売るつもりだった」と供述しているという。 人形は非売品だが、マニアの間で取引され、等身大のものは10万円以上するという。】
〜〜〜〜〜 「ネットオークション」というのは、本当にすごいものだなあ、と僕はこのニュースを聞いて思いました。何がすごいって、「普通に売っていたら、まず買い手がみつからないようなもの」もしくは「普通に売ること自体が困難なもの」が平然と売られていて、それにけっこうな高値がついたりするわけですから。 以前、「2ちゃんねる」が売りに出されたことがありましたが(これは冗談だったのですが)、卒業アルバムとか「処女」なんてのも売られていましたし。そういえば、「有名人の結婚式の引き出物」なんてのも必ず出てきますよね。僕の同僚の先生は「有栖川宮御成婚記念」の引き出物を一生懸命落札しようとしていましたし。ちなみに、「もし本当に落札してしまったらどうしようかと最後はドキドキしたよ…」というくらいの高値になったみたいです。 ペコちゃん人形がいくら好きでも、「等身大のものは10万円以上する」というのは、僕の感覚からすれば「信じられない!」という気がします。おそらく店に置いてあるものの原価は10万どころではないのでしょうが、1メートル以上のペコちゃんなんて、ものすごく邪魔なこと間違いないと思うのだけど。
ネットオークションのおかげで、「自分にとって要らないもの」が「他人にとってものすごく必要なもの」であったりする、というのが理解されつつあるようです。フリーマーケットみたいにお客さんとやりとりをしたり、体を使うややこしさはないし、いろんな品物を見て回るのは、それだけでも楽しいしね。
ただ、こんなふうに「犯罪行為」とのグレーゾーンを見極める感覚というのが、「ネットを経由することによって、ものすごく曖昧になってしまっている人も中にはいるのでしょうね。「援助交際」なんて、カタギの普通の大人ができる行為ではなかったのに、出会い系サイトなどを利用すれば、ごく普通の大人が「買春」をあまり罪の意識もなく行えてしまったりとか、このペコちゃんのように「出どころがはっきりしない商品」に対しても、「問題のある品物だったらどうしよう」なんていう危機意識がマヒしてしまうこともあるみたい。
ネットはあくまでも便利なツールであり、ネットを通したからといって、すべてが浄化されるわけではない、ということは、頭に入れておいたほうがいいでしょう。別に「どうしてそんなものを欲しがるんだ!」とか言うつもりはありませんが。ペコちゃんのいる生活というのも、人によっては潤いがあるのかもしれない。
それにしても、いくらなんでもこれはバレるだろう、というような手口だし、いっそのことレジから現金でも奪ったほうがはるかに手っ取り早いと思うのだけど、「盗んだペコちゃんを売る」ほうが、この犯人にとっては「より犯罪的ではない行為」なんでしょうか? それはちょっと、不思議だなあ。
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