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2004年04月25日(日)
「マイナーだからおもしろい」という命題

KAWADE夢ムック「トリビュート特集・ナンシー関」(河出書房新社)より。

(「ナンシー関 名言&名バック集」のうちのひとつ)

【「マイナーだからおもしろい」というテーゼがクセ者である。
 「マイナーでおもしろい」ものもあるが
 「マイナーでもつまらない」ものや
 「メジャーでもおもしろい」ものもある。】

〜〜〜〜〜〜〜

 僕は基本的に、自分が「マイナー」を好む人間だと思っています。ビデオはベータだったし、パソコンはMacを使っていましたし(今はwindowsに「転んで」しまいましたけど)、野球は広島ファン。ベストセラーなどや人気歌手なども、心の中では「一般ウケ狙いのつまらないもの」という感じで、ちょっと割り引いて考えていました。
 でも、今では「メジャーなものは全部ダメ!」という発想は、「メジャーなものは全部すばらしい!」という考え方の正反対なようで、実は同じものなのではないかなあ、という気がするのです。
 「売れている本」というのは、確かに「大衆に媚を売っている」のかもしれませんが、実際は「大衆に媚を売っている本」なんていうのは、それこそ腐るほどあるのです。本100冊のうちの1冊だけが「媚を売っている本」でベストセラーになって、残りの99冊は全部「媚を売っていない、マイナーな本」というようなわけではないんですよね。
 100冊のうち、「メジャー志向」の本が50冊だったとしても、その中でベストセラーになるのは、ほんの一握りなわけですから。
 それに「売れた本」に対して、「どうしてこんな本が売れるんだ!」と文句を言うのは筋違いで、本来は読者に「どうしてこんな本を買うんですか?」と問うべきなのだと思います。
 もっとも、現代ではごく一部の「口コミで売れる」作品を除いては、なんらかの形で宣伝されていないと売れませんし、本やCDなどは、店頭に並べられていなければ(もしくは、ネット通販でラインナップされていなければ)、選択の対象にすらならないんですよね。

 僕たちの「マイナー志向」というのは、所詮、「マイナーというキャッチコピーで商売をしようとしている人々」の掌中で踊らされているようなものなのかもしれません。少なくとも、そこらへんの書店やCDショップで簡単に買える程度のマイナー作品なんていうのは、本当の「マイナー」の範疇には入らないものです。
 中には筋金入りの「マイナー好き」の人もいるのですが、彼らは、ものすごく苦労して自分の好きな作品を探し求めているのですから。
 もちろん、「苦労すればいい」というものではないんでしょうが。

 「メジャーなもの、売れているものはダメ」という発想は、たぶん、自分の世界を狭めているだけだと思うのです。妄信的に「売れているから凄い」と解釈してしまうのも問題ですけど。
 きっと「マイナーだろうが、メジャーだろうが、面白いものは面白いし、つまらないものはつまらない」のです。それはもう、なるべく先入観無しで、自分の感性に照らしてみるしかないのでしょう。

 結局、極端なマイナー志向、メジャー志向なんていうのは、「自分は他人と違うということをアピールしたい」か「自分はみんなと同じ『良いもの』がわかるということをアピールしたい」かだけの違いしかないのです。

 ベストセラーになろうが自費出版だろうが、「売れたこと」や「売れなかったこと」によって本やCDの中身が変わるわけではないんですけど、やっぱり、先入観というのは大きんだよなあ。