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2004年02月08日(日) ■ |
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「パトカーをタクシー代わりにするなんて!」 |
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毎日新聞の記事より。
【京都府警九条署が、大学の受験会場を間違えた女性を正しい会場までパトカーで送り届けていたことが7日、分かった。パトカーはサイレンを鳴らし赤色灯を点灯させて“緊急”走行していた。
同署の説明では7日午前10時ごろ、京都市南区の同署山王交番に「試験会場を間違えた。何とかしてほしい」と女性が泣きながら駆け込んだ。試験は午前10時からで、女性の試験会場は京都府京田辺市の同志社大京田辺キャンパスだった。
しかし、女性は間違えて京都市上京区の今出川キャンパスに向かっていたといい、同署は「女性の人生にかかわる緊急事態」として、桐村富男署長が口頭で許可し、特別にパトカーを出動。女性を乗せ、交番から南へ約20キロ離れた京田辺キャンパスまで送り届けたという。女性は10時25分ごろにキャンパスに到着。あと5分遅いと受験資格を失うところだった。同署は「警察として妥当な判断だった」と話している。】
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この記事を読んで、「パトカーをタクシー代わりにするなんて!と憤る人もいるだろうし、「警察も人情があるねえ」と微笑ましく思う人もいるでしょう。 この警察の「善意」に対する解釈は、非常に難しい。 「自分のミスで引き起こしたことなんだから、自分で責任とらせろよ!」という意見も当然あるでしょうし、会場を間違えたり、思わぬトラブルで会場に着けなかった受験生は、彼女だけではないだろうしなあ。
まあ、「受験」なんていうのは、終わってしまえば「あの頃はどうしてあんなことに一喜一憂していたのだろう?」なんて自分が疑問に思えてくるくらいなのですが、リアルタイムに受験生だったときは、まさにそれが「人生の一大事」だったわけですし。 そういう意味では、「人生にかかわる緊急事態」という判断は誤ってはいないと思います。 普通にタクシーで行っても、おそらく10時半には間に合わなかったでしょう。
「それは警察の本来の業務とは違うだろう」とも感じますが、目の前に困っている人がいて、その人を助ける方法を自分たちが持っていれば、ナントカしてやりたいと思うのは、人間として当然のような気もしますしね。
ただ、この件をきっかけに、「困っているから」という理由でパトカーをタクシー代わりに使う人が増えるのも困ったものです。残念なことですが、「タクシー替わりに救急車を呼ぶ酔っ払い」なんて人もいますからねえ。そして、救急車は要請を断れないことになっていますから、こういう行為が救急業務の妨げになっていることも事実ですし。
今回の件に対しては、別にこの受験生や警察を責めたり褒めたりする必要はないと思います。この女子学生は「大事な受験日に遅刻した」というだけで、かなりのショックを受けたでしょうし、試験時間も短くなってしまったわけですから。ただし、警察としては、これは「今回限り」で、今後同様の要請(遅刻しそうだから警察に泣きつく)は受け付けない、という態度は明確にしておいたほうが良いでしょう。そうしないと、「利用」する人がたくさん出てきそうだし、「不公平感」を人々に与えてしまうのは良いことです。 まあ、好きで受験日に遅刻する受験生なんて、いるわけないですけど。
でもね、これは本当は、「自分の受験会場の確認・下見をしていなかった」というこの女の子の責任。受験生の人たちは、くれぐれも注意してくださいね。いや、そんなに大事な志望校なら、下見くらいしておくだろうと思うのだけどなあ。
しかし、こういうどっちに転んでも叩かれそうな状況で、「人情」をみせた警察は、僕はけっこう好きです。年度末調整の帳尻合わせために交通取り締まりに熱心になるより、よっぽど「市民のため」になっていると思いますから。
その前に、もっとやることがあるんじゃない?という話は、まあ置いといて。
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