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2004年02月03日(火)
小泉首相、あなたは教育者としては失格です!

毎日新聞の記事より。

【小泉純一郎首相は2日、宮崎県の高校3年生が武力に頼らないイラク復興支援を求める5358人の署名を提出したことについて「よくイラクの事情を説明して、なかなか国際政治、複雑だなあという点を、先生がもっと生徒に教えるべきですね」と述べ、教育のあり方に注文をつけた。首相官邸で記者団に感想を聞かれ答えた。

 首相は「署名を読みましたか」との記者団の質問に「いや、読んでません」と述べた。さらに「読む考えは」と聞かれ「自衛隊は平和的貢献するんですよ。学校の先生も、よく生徒さんに話さないと。いい勉強になると思いますよ。この世の中、善意の人間だけで成り立っているわけじゃない。なぜ、警察官が必要か、なぜ軍隊が各国で必要か」と語った。】

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 小泉首相の本音は、「もううんざり」という感じなんでしょうね。確かに、マスコミ・野党からの「イラク派遣バッシング」は激しいものがありますし、「戦争をしに行くわけじゃないんだって何回言えばわかるんだ!」と怒鳴り散らしたい気持ちなのかなあ、なんて。

 僕は小泉首相のことを「誰にでも理解できる、普通の日本語で喋ってくれる人」として、それなりに評価しているのですが、この高校生の署名に対する対応には、「オトナじゃないなあ」と感じてしまいました。
 18歳といえば、もう半分くらいは大人という年頃です。でも、そんな高校生が「イラクへの自衛隊の派遣を平和的貢献とはみなしていない(しかもそれに対して5000人以上の署名が集まっている)」という事実は、無視できないものです。
 それは、「自衛隊のイラクでの平和貢献という目的は、すべての日本国民(あるいは世界の人々)に首相が考えているようには認識されていない」ということを示しています。
 
 もちろんそこには、「大人の事情」というのもあって、アメリカへの義理立てもあるでしょうし、現在のイラクの情勢では、ある程度の極限状態下での訓練を積んでいて、技術もある自衛隊という組織が行くのがもっとも妥当という判断もあると思うのです。

 でも、高校生に対して、先生が「国際政治の複雑さ」(=「日本はアメリカへの義理があるから、仕方ないんだよ…」)とか、教えるのが正しいのでしょうか?
 ましてや、「世の中には悪い人もいるから、警察や軍隊が必要なんだ」なんて、教えるのが「望まれる教育」であるのなら、僕はそんな学校は要りません。

 理想論だと笑われるでしょうが、僕は、中学生や高校生が「日本はアメリカの言うことを聞かないとやっていけないしなあ」とか「原爆投下は、戦争終結のために仕方なかったんだ」とかいうような、「世界に対する諦め」を訳知り顔で語るような社会は、腐り果てていると思うのです。

 少なくとも、学校では「国際紛争の解決方法として、戦争はよくない」と教え続けてもらいたいし、「警察や軍隊がいらない社会を作るには、どうしたらいいか?」を子供たちに考えさせてもらいたいのです。

 「現実に妥協すること」が、生きていくために必要なことは、確かにあります。
 それは、30年以上生きてきて、紛れもない事実だと感じます。
 でも、それは、社会で生きていく過程で(悲しいことですが)自然に身につけていくという性質のもので、学校の先生が教えるべきことではないと思います。

 僕は子供の頃、「日本に自衛隊がある」というのがものすごく嫌で、情けないことだと思っていました。現在は、イラクでの「自衛隊の平和的貢献」に期待していますし、彼らが無事に日本に還ってきてくれるのを心から祈っています。
 でも、その2つの思考は、けっして矛盾したものだとは思いません。
 それは、「子供のころから、ずっと自分で考えてきた結果」だからです。

 小泉首相には自信を持ってもらいたいし、自衛隊の隊員のみなさんには「危険な中でのイラクへの平和貢献」に誇りを持ってもらいたい。

 そして、子供や先生たちには、「現状に妥協する未来」ではなくて、「警察や軍隊を必要としない世の中にするには、どうしたらいいか」を考えてもらいたいのです。

 「この世の中、善意の人間だけで成り立っているわけじゃない」
 確かに、そのくらいじゃないと政治はやっていけないのでしょうけど、その原則に基づいて子供を教育しようとする社会は、ロクなものではないですよ、きっと。