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2004年01月30日(金)
キムタクの「危険なファンサービス」と「偏った報道」

日刊スポーツの記事より。

【SMAP木村拓哉(31)主演のフジテレビ系ドラマ「プライド」(月曜午後9時)収録の休憩中、木村がアイスホッケーのパックをファンサービスで客席に打ち込みエキストラの20代女性にケガを負わせた事故で、29日夕までに、同局に約100件の問い合わせなどが視聴者から寄せられた。事故は20日に起こったが、同局がニュースとして取り上げなかったことを疑問視する意見が多かった。女性からは「木村さんはファンを喜ばせようとやっただけ」と同情意見もあった。】

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 本当に、最近のテレビ局の偏った報道にあきれ返ります…
 と言いたいところなのですが、僕はこの事件、そんなに大げさにしなくてもいいんじゃないかなあ、とも思うのです。別にキムタクファンじゃありませんけど。
 この「事故」というのは、人気ドラマ「プライド」のロケ中の休憩時間に、キムタクがファンサービスとして、パック(アイスホッケーのボールみたいなもの)を客席にポーン、ポーン、という感じで打ち込んでいたときに起こったということです。
 野球の試合前の練習中に、選手がファンサービスとしてスタンドにボールを投げ入れるようなものだと考えればいいのでしょう。おそらく、キムタクもそんなイメージでこれをやっていたんでしょうし。
 でも、勢いが強すぎたのかそれとも人が密集していて受け(あるいは避け)きれなかったのか、そのパックは観客のひとりの女性の顔に当たってしまったのです。
 結局、女性は歯が折れて、現在も治療中なのだとか。歯は人間にとって大事な器官ですから、とんだ被害を受けた、ということになるのでしょう。

 この事故の原因としては、なんといっても「パックの威力」というものに対するキムタクおよび制作側の油断にあるわけですし、素人がそんなファンサービスをやっては危ないということだと思うのですが、その行為自体には、全然悪意を感じないんですよね、僕は。今度同じことをやったらバカだと思いますが、今回の事故に関しては、反省は必要にせよ、そこまで大きな問題にすべきことなのかな、と。

 それを言うなら「野球選手は危ないからスタンドにボールを投げ入れるな」とかいう話にもなりますよね。彼らはプロだから、うまく力を調節できるにしろ、野球の試合中にファールボールが当たってケガする人だっているのですから。
 同じようなロケ中の事故としては、最近では「西部警察」のものがありました。あの事故は安全管理に問題あり、ということで、当該番組も放映されていませんし、刑事責任も問われました。しかし、あの事件のときもちょっと思ったのですが、迫力のあるシーンを観ようとして現場にいた観客が、多少のリスクを背負うのは、仕方ない面もあるような気がするのです。
 そういう意味では、「普通のドラマのロケで歯が折れた」というほうが、「割に合わない」印象もあるのかな。

 「フジテレビがこのニュースを放映しなかった」といってクレームをつけた人がいたようですが、僕は「そんなことよりもっと、報道すべきニュースがあるんじゃないの?」とも思うのです。
 「キムタク」とか「人気ドラマ」とか「フジテレビ」とか、いわゆる「権力」の自浄作用のなさに失望する気持ちはわからなくはないですが、それでも、こういう「悪意のない事故」と「恣意的な偏向報道」とは区別する必要があるのではないでしょうか?
 むしろ、他の局がこのくらいの事故を大々的に報道することのほうが、ある意味「偏っている」と言えなくもない。「人気ドラマだし、社会的影響が…」とか言われそうだけど。

 それにしても、「安全性」と「臨場感」というのは、相反するもの。F1レースの観客席が強化ガラスでサーキットと完全に遮断されていたり、野球のスタジアムで、客席の前に巨大な網が張り巡らされていたりしたら、やっぱり興ざめなのです。

 とりあえず今回は、「普通の事故」。もう一度同じことを知っていてやったら「犯罪」ですけどね。