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2003年11月27日(木)
「メス豚」と女子学生を罵った暴言教授の謎

共同通信の記事より。

【宇都宮大は26日、授業中に女子学生を殴ったり暴言を吐いたとして、文系学部の男性教授(62)を停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。
 大学によると、教授は6月16日、一般教養の講義中に2年の女子学生の左ほおをこぶしで1回殴り、「メス豚」とののしった。学生にけがはなかった。
 教授は女子学生への殴打について「ほかの授業の資料を見ていたから」と説明しているが、学生は否定しているという。
 さらに5月から7月にかけて、別の授業でも「クズ」「宇都宮大学は腐っている」などと学生への暴言を繰り返していた。教授は「態度が悪いので腹が立った」などと話しているが、反省し学生に謝罪したという。】

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 「メス豚」ですか…62歳男性にとって、これって当たり前の罵倒用語なんでしょうか?サディスティックな趣味があるか、官能小説のマニアなんじゃないだろうか、この人。

 この話を聞いて僕が思ったのは、昔からの教授にとっては、今の大学というのはやりにくいだろうな、ということでした。
 僕も上の先生の手伝い(まあ、プリントを配ったり、出席をとりにいったりという雑用)で学生の講義を観に行く機会があるのですが、それはもう、けっこう壮絶なものです。

 もちろん、教室の前の方では真面目な学生たちがしっかり講義を聴きながらノートをとったりしているのですが、その一方で、後ろの方の席では「出席カードだけもらえればいい」という学生たちが、学園祭のアンケートを作っていたり、堂々とマンガを読んでいたり、一心不乱に携帯メールを打ち込んでいたり。

 でも、小学校や中学校じゃなくて大学ですから、よほどのことがないかぎり「自発的な向学心」に任されているのです。
医学部だって(しかも、基礎系とはいえ医学関係の講義なのに)、こんなものなのです。

 というわけで、宇都宮大学をバカにしているわけじゃないですが、あんまり講義を受ける態度は良くなかったんじゃないかなあ、という気はします。
たぶん、多くの大学がそんな感じだとは思うけど。
だからと言って「メス豚」とか言っていいはずもないのですが。
それでも、「学生が講義を受けていた状況」については、もう少し公正な観点が必要でしょうね。実際は、大学の講義を完全に理解できるレベルの高い学生なんて、ごく少数だと思われますが。僕には殆ど理解困難でした。

 しかし、僕も学生時代に「お前たちより、○○大学の学生のほうが真面目だ」とか言われて、ひどく不愉快で、いやな講義でさらにやる気が失せた記憶がありますから、「クズ」とか「この大学は腐っている」なんて言うのは、逆効果でしかないんだけどなあ。

 最近では、大学でも「学生による教員の評価」というのが一般的になってきているくらいですし、僕の学生時代の経験からも「本当に面白い講義をしてくれる先生」というのは、少数ですが確かに存在していました。
だから、この先生も「生徒の態度の悪さ」もあったのでしょうけど、「思わず引き込まれるような、面白い講義」をやるという方向に向かっていればよかったのに。
 それが難しいことだっていうのも、わかるんですけどね。
 そういうのは、教える側、教えられる側のどちらか一方だけの責任ではないだろうし。

 それにしても、「メス豚」という言葉は、この事件のインパクトを1万倍くらいにしていますよね。
 停職3ヶ月のうちの2か月分くらいは「メス豚分」ですね、きっと。

 誰かに怒りをぶつけるとき、「バカ」「アホ」「帰れ!」というような言葉が浮かんでくるのはわかるんだけど、たぶん、僕の頭の「悪口ライブラリー」には、「メス豚」はありません。
「どうしてこんな言葉がいきなり出てきたんだろう、サドとかの研究家?」とか思ってしまったのも事実なのです。
 それとも、現在還暦くらいの人にとっては、「メス豚」って「バカ」くらいの意味なんだろうか…