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2003年11月26日(水) ■ |
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「援助交際」をやめさせるためには? |
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毎日新聞の生活欄「子どものこと話そう〜少女売春・やめさせるには」より。
【最も数多く見られたのが、大人の態度にこそ問題の根があるんだとする意見だったが、「ではどんな態度をとるべきなのか」になると、意見は大きく二文される。 <自分の体を売ってお金にすることは悪いことであり、恥ずべきことであること以上の理屈がなぜ必要なのか。大人や評論家が変にひるむのが、いまの援助交際、売春を助長しているのではないか?(女性・55歳・教師)>や、<すぐに「ばかたれ!」と一喝できない大人のだらしなさが、自分を大切にすることすらわからない馬鹿な子供を育てている(女性)>といった声は、毅然とした態度をとれない弱腰への批判だ。 もっとも、その一方で、<上からの「説得」など意味はないと思う。話し合うしかない(女性・47歳)>という声もあったし、少女世代の投稿には、こんなものもある。 <頭ごなしに怒られたら私なら聞く気にならないと思う。もちろん怒る地ことも重要だけど、怒るだけじゃ反発するだけになるかもしれません(19歳・大学生)> もちろん、“毅然派”も、ただ一方的にまくしたてろと言っているわけではない。二つに分かれた意見は、最終的に<あなたをいかに大切に思っているか、という親の愛を伝えるべき><とにかく親の本気を見せる>で再び一致するのだから。】
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僕は、交通事故を劇的に減らす方法を知っています。 それは、「人類が車を使うのを止めること」です。 では、「援助交際(この記事の中では、「少女売春」と言い直すべきだと主張されていますが、別にどっちでもいいです)を減らすには、どうしたらいいか?」 答えは簡単。 「携帯電話やインターネットを人類社会から排除してしまえばいい」のです。
基本的に「車は事故を起こすもの」です。 運転歴が長い人なら、「絶対に事故を起こさない車なんてありえない」ということを理解していただけるはず。 それでも、僕たちは車の便利さに一度慣れてしまったがために、それを手放すことはできなくなっているのです。 要するに、事故の危険と車という道具の便利さを天秤にかけて、結局、そのメリットが上回ると判断しているから、車を利用し続けているわけです。
「最近の女子高生は…」なんて僕も思うことがあるのですが、実は「援助交際」がこれほど広まってしまった要因は、彼女たちのモラルの低下というより、「売春行為を簡単にしてしまった、インターネットというツール」の影響が大きいのではないかと思います。 「援助交際」なんて言葉ができる前から、おそらく同じような行為は行われてきたのでしょうけど、少なくとも、「普通の女子高生」にとっては、敷居が高い行為だったはずです。 街娼(街角に立って、客引きをする女性のこと)のようなことをするのには抵抗があるでしょうし、登録制のものにしても、やっぱり怖い人たちが絡んでいそうですし。 それが、「同じ趣味・目的の人を探す」ということに非常に適したネットというツールの登場によって、お客を探すのに苦労せずに「直接売買」が可能になった、ということなのです。 でも、現代社会で、「援助交際を予防するためのインターネットの停止」なんて受け入れられるわけがありません。 まあ、要するに「現代社会では、援助交際のリスクが上昇しても、ネットというツールの便利さが優先されている」ということなんですよね。 本心のところでは、「バカな女子高生とバカな大人がやっているんだから、どうしようもない」と思っている人も多いのではないかなあ。 一度の「援助交際」で何万円ももらえるというのは、「普通の女子高生」にとっては、まさに破格の収入なわけです。ファーストフード店でのバイトで同じだけ稼ごうと思えば、いったいどのくらい苦労しなければならないか。 それを考えると、「自分の体なんだから、別に売り物にしたっていいんじゃない?」などという女子高生の言葉に、果たして絶対的な反論があるのかどうか? 「自分の体を売ってお金にすることは悪いことであり、恥ずべきことである」という伝統的な考えに、現代社会でどの程度の論理的な説得力があるのか、僕は怪しいものだと思っています。 「不貞行為は女の恥」という意識が常識であった時代と、「性」に対しておおらかになっている現代とを同じ視点で測ること自体が不可能なんですよね。 「体を売るのは悪いこと」というのは、もはや「常識」ではないんじゃないでしょうか?
それに、男だけの状況では、「自分の娘が『援助交際』なんてやってたら許せないけど、男としては若い女の子に興味がある」なんてことを言う人は、けっして少なくはないのです。
それでも僕は、あえて言いたい。 女子高生たちは、「バカなオッサンたちからお金を巻き上げている」と思っているのかもしれませんが、実際には、彼女たちは騙されています。 大人にとっては、数万円なんていうのは、小さな金額ではありませんが、少なくともそんなに切実な金額ではありません。安く買い叩かれているのです。 日本人の団体の「買春ツアー」の話題を聞くと、多くの人は「貧しいばかりに体を売らなければいけない途上国の女の子はかわいそう」と感じると思います。 でも実は、「援助交際」っていうのも原理は同じことで、彼女たちは「大人と子供の経済力の格差につけこまれて、買われている」のです。
「援助交際をしていた」という事実が心と体に与えるダメージと女性としての価値の低下(ああ、こういう書き方をすると反発されるだろうけど、僕は、「不特定多数の男性と金のために寝ることができるような危機管理意識の無い女性」を生涯のパートナーに選ぼうとは思いません。それは、世間一般の男の本音だと思うのです)は、1回数万円どころじゃないからね。 はっきり言って、損だよ、そんなの。 今の金銭感覚では数万円も大金かもしれないけど、目先の利益にとらわれて、自分を安売りしちゃダメだよ。 尾崎豊の真似をして学校のガラスを割りまくっても、少しも社会は良くならなかったのと同じこと。
それに、一番の問題点は、その危険性です。 僕が、この記事の中でいちばん心に残ったコメント(39歳女性・産婦人科)を挙げさせていただきます。
<出会い系サイトで知り合った男に殴られた中学生の青痣や、ヘルペスをうつされてじくじくの外陰部や、中絶胎児の写真など、教育現場で教材として使うしかないと思います。物分りよさげな親のほうに、むしろ現実をみせるべき>
麻薬使用者に対する処罰について、アメリカ政府は次のような見解を示しています。 「麻薬使用者に対する刑罰は、その麻薬が体に与える障害を越えるものであってはならない」と。 ほんと、「現代社会の歪み」だとか「彼女たちの気持ちもわかる」なんて知ったようなことを言う評論家や親たちや女の子たちに、ぜひ「現実」を見せるべきだと思います。 「援助交際」をドラマチックに報道するだけじゃなくて、こういう現実をもっと社会に広めてもらいたいものです。視聴率取れないからダメかな? 「現実」を知って、「それでもやる」という女の子がいれば、「それはもう御勝手に」です。
しかしね、一番悪いのは、「買う大人の男」です。それは間違いない。 買い手がいるから、商売になるわけですから。 実際、「買ったら死刑」でもいいくらいなのに、内心「売るほうが悪い」とか「男の本能だから仕方ない」とか思ってる男はけっこう多いんだよなあ、きっと。
それが仕事とはいえ、僕はもう、10代前半の女の子が中絶した胎児とかを診なければならないのは嫌なんだよ!
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