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2003年11月10日(月) ■ |
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自民党幹部の「選挙ステーション」出演拒否とテレビ朝日の報道姿勢 |
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共同通信の記事より。
【テレビ朝日が9日夜に放送した選挙特別番組「選挙ステーション2003」に、自民党の安倍晋三幹事長ら幹部が同局の報道姿勢を不服として出演を拒否していたことが10日分かった。 同局によると、4日の「ニュースステーション」で、民主党が政権を取った場合の閣僚名簿を発表したことを受け、約30分にわたる特集を放送した。 その後、自民党側から、今回の選挙特番では党本部からの中継による幹部出演はしない、との連絡があったという。 テレビ朝日広報部は「5日には各党のマニフェストを詳しく紹介し、バランスは取ったつもり。このような形になり、残念」と話している。】
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僕はちょうど、4日のニュースステーションを観ていたのですが、確かに、あの日の放送だけを観ていたら、「民主党偏重」ととられても仕方ないかもしれませんね。 個人的には、怪しげな「民主党・○○大臣」とかいう人たちが出てきて、田中康夫さんとかが偉そうに喋っていたなあ、という印象で、民主党への好感度は全然アップしなかったのですが。 いかにも、人気がありそうな人をつれてきました、って感じで。
選挙戦などというのは「スキャンダル」は困るでしょうけど、一般的にはメディアに露出すればするほどいいわけで(そのことによって、有権者の「選択肢のひとつ」に入る可能性は上がってくるでしょうから)、少しでもテレビ番組などで大きく、好意的にとりあげてもらいたい、というのは各党の人たちの本音でしょうね。
しかし、現実問題として「100%公正な報道」なんていうのは不可能ではあるんですよね。最初から「論外」としてまともに政策発表の場すら与えられない「泡沫候補」というのもたくさんいるわけですし。 いわゆる「泡沫候補」も自民党や民主党の候補者も全く時間を割いて同じように取りあげられるとすれば、見世物としては面白そうですが、あまりにも冗長なものになるでしょう。 そういえば、以前、比例代表のミニ政党の政見放送が、NHKで同じ時間だけ放送されていましたが、けっこう噴飯ものの党もありました。「これをこんな時間にテレビで流していいのか?」みたいな。
そう考えれば、放送する側が「有権者のニーズに合わせて」あらかじめ取捨選択しているのは自明の理なのです。今回は、民主党が自由党との合併と「マニフェスト」という理念を前面に押し出したことによって世間的に注目されていましたから、多少とりあげられる機会が多くなるのも仕方がないような気もします。
ただ、僕は以前久米宏さんがどこかのインタビューで、以前の選挙についての「ニュースステーション」を回想して「番組を通じて、世間の流れを変えてやりたい、という気持ちがあった」と発言されていたのを読んだ記憶があるのです。 今回の番組の編成に、久米さんの意向がどの程度反映されたものかはわかりませんが、あまりにも恣意的すぎる部分を自民党の幹部たちは感じていたのかもしれませんね。 そういった不満の蓄積が、今回の取材拒否を生んだような気がします。 勝っていれば(実際は、そんなに負けてもいないんだけど)、そんなに目くじら立てることもなかったでしょうけど。
話はちょっと変わりますが、小学校から中学校くらいにかけて、プロレス好きだった僕は、とあるプロレス雑誌を買っていたのです。ところが、その雑誌はある時期、「ウチの団体に対する扱いが悪い」ということで、某大手プロレス団体に「取材拒否」をされてしまったのです。 傍からみると、確かにその雑誌は多少他の団体に偏重気味ではありましたが、それほど「不公平」には思えなかったのですが。 結局、しばらくして両者は和解し、その雑誌には、また某大手団体の記事が載るようになったのですが、正直なところ、一読者としての僕の感想は、「あんな大手の団体なんだから、そんな言いがかりみたいなこと言わずに、大きく構えていればいいのに」というものでした。 大きな勢力の取材拒否が生むものといえば、情報の枯渇と「大手であることを利用して、メディアに対するイヤガラセをやっているという印象」でしかないと思うのです。
実質的にはたいして負けてないんだから、自民党の人たちも堂々と選挙ステーションに出て、「お前らがあれだけ応援してもこんなものかよ、民主党は」とか言ってやったら面白かったのに。 取材拒否で圧力をかける、なんてせせこましい手を使うのは、ちょっとみっともないですよね。なんといっても、日本の政権政党なわけですから。
現在の日本では、「久米さんが言っているから」って、100%鵜呑みにするほど愚かな国民はそんなにいないと思いますよ。 もちろんそれは、「小泉さんが言っているから」というのにも当てはまるわけですが。
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