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2003年11月08日(土)
日本一忙しいクリエイター〜「クドカン」大ブレイクの秘密

「日経エンタテインメント!・2003・12月号」(日経BP社)の記事、「宮藤官九郎〜日本一忙しいクリエイターはこうして生まれた」より。

【もう一つ、宮藤が「速筆作家」であるという事実も、ブレイクを後押しした大きな要因。仕事依頼が集中しても、対応可能だからだ。最近では、来春公開予定の映画『ゼブラーマン』(哀川翔主演、三池崇史監督)の例がある。同作の執筆にかかった日数は、わずか3日。普段から「筆は速いほう」と認識していた関係者もこれには驚いたという。
 主な執筆場所はファミリーレストラン。彼の作品は一貫して「リアルなセリフ」というのが特徴として挙げられるが、これは近くの席から聞こえてくる会話が元ネタになっているからにほかならない。クドカンのリアリティは、ファミレス感覚から生まれているのだ。】

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 「クドカン」こと宮藤官九郎さんは、今まさに時代の寵児として各方面で高い評価を得ている人なのですが、こんなところにもブレイクの秘密があったんですね。
 まあ、実際に彼の名前がついた新しい作品がこれだけ世間に溢れているのですから、膨大な仕事の量をこなしているということは想像に難くないのですが。
 「遅筆」で有名な作家として、井上ひさしさんや三谷幸喜さんがいらっしゃいますが、彼らは、「台本ができずに公演が延期された」とか、「クランクインの日になっても、まだ完成稿ができていない」なんて伝説を持っています。
 もちろん、彼らは素晴らしい作品を書ければこそ、生き残っていられる作家たちではあります。

 でも、「3日で脚本1本」というのは(しかも映画!)、あまりに凄すぎるエピソードです。下準備というか、構想の段階は換算していないとしても、周りのスタッフからすれば、「台本が遅すぎる…」というトラブルはあっても、中身がよければ「台本が速い!」というのは大きなメリットのはず。3日で完成したと聞いたときには、さすがに驚いたでしょうけど。

 僕のような完成品を観るだけの観客側からすれば、「作品の質」を意識することはあっても、「製作の速さ」というのは、あまり意識しない要素です。
 しかし、製作側からすれば、同じ質なら「早くできる」というのは大きなメリットなんですよね、きっと。
 どんなに売れっ子作家で仕事の依頼が多くても、スピードがなければこなしきれない。そして、「速くて質が良い」からこそ、また新たに依頼が来る。ファンも、すぐに新しい作品に触れることができる。
 スタッフからみても、ファンからみても、こんなに素晴らしい作家はいないわけですから、そりゃブレイクしますよね、クドカン。

 ただ、あまりに「書きすぎる」のも、消費されつくしてワンパターンになってしまうのではないかなあ、という気もしなくはありません。
 「売れすぎた」ばっかりに結果的にすぐ飽きられてしまって、クリエイター生命が短くなってしまった例は、かなり多い印象がありますし。

 まあ、「自分が売れているという状況」すら、ファミレスでの他人の会話の一部のみたいに客観的に見ているような気もしますけどね、「クドカン」は。