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2003年10月13日(月)
先生、その麻酔薬、注射する人を間違ってます…

毎日新聞の記事より。

【茨城県警つくば中央署は13日未明、つくば市桜1、筑波大付属病院麻酔科研修医、助川岩央容疑者(26)を傷害の疑いで逮捕した。

 調べによると、12日午後6時45分ごろ、同市天王台1の筑波大学構内で、助川容疑者は同大のバンドサークルに所属する女性をめぐって、東京都品川区の男性会社員(23)と口論になり、男性の右肩に麻酔薬(50ミリグラム)入りの注射器を突き刺し、全治2日間の軽傷を負わせた疑い。

 同大では11〜13日の日程で、学園祭「隻峰祭」が開かれており、助川容疑者と男性はバンドサークルのOBとして学園祭に参加していたという。助川容疑者は「(男性を)こらしめてやろうと思って、注射器を準備していた」などと供述しているという。】

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 まあ、この二人ともうひとりの女性の間に、どんなトラブルがあったかはさておき、このニュースを聞いたとき、「頼むから、注射器とか使うのはやめてくれ…」と僕は思いました。
 どうせなら、殴るか蹴るかしたほうが手っ取り早いのに(もちろん、本当は殴ったり蹴ったりもしちゃダメですよ)。
 この医師が使った薬の種類は、50ミリグラムという分量からだいたい見当はつくのですが、おそらく、一般的な前処置(検査などの前に、検査をしやすくしたり、緊張をほぐすために使用する薬)で使われるものだと思うのです。現在、とくに大学病院などでは、麻薬とか劇薬は、一研修医が勝手に持ち出せるようなものではないですし。
 とはいえ、刺された相手にとっては、「医者が怪しげな薬を注射した!」という事実だけで、パニックになってしまうこと必定です。

 こういう「職業的特性を利用した犯罪」というのは、本人が思っている以上に相手に与える恐怖感は強いもので、未知の人間にとっては、野球選手がバット振り回して暴れたり、ハルク・ホーガンが、アックスボンバーを振りかざしながら襲ってくるのと同じようなものなんですよね。
 それは、「医者であることを利用した犯行」ですから、自分の職業そのものを貶める行為でもあるわけで。
 警官が拳銃を持っていたり、医者が刃物を持っているのが許されるのは、「それを人々の利益のために使う」という大前提があるからなのです。

 こういう人がひとり出てくると、また、いろんなところで無垢の医師たちが、「先生、その注射器持って暴れないでくださいよ」とか言われたりするのです。
 せつないなあ、もう。

 いっそのこと、その注射、自分に打てばよかったのにねえ…