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2003年09月18日(木)
ハドソン高橋名人が語る、「裏技」のルーツ。

「CONTINUE(コンティニュー)Vol.11」(大田出版)の記事「高橋名人インタビュー」より。

(一世を風靡した、ファミコンの「裏技」のルーツについて)

【インタビュアー:「裏技」という言葉もありましたよね。
 高橋名人:そうそう。裏技もこの頃(1985年の秋くらい)に生まれた。ファミコン版『ロードランナー』で、ハシゴで右手を上にして止まっていると敵がすり抜けていって死なないという一種のバグが発売後に見つかって、すぐに100万本も出荷しちゃってて「どうしよう」となった(笑)。それでコロコロ(コミック・小学館)さんとも話をして、「だったら、これに名前をつけるといいんじゃないか」ということになったんです。
 「普通のプレイが表なんだから、裏ということで、裏の技…裏技!いいじゃん!」と。だから、すべての裏技は『ロードランナー』が始まりです。それで裏技という言葉ができたから、「隠しコマンドとか入れてみるのも面白いなぁ」ということで、狙っていろいろ裏技を入れたの。そしたら、とあるメーカーがバグをすべて裏技と言い張っちゃうなんてことをしたりして。画面が止まったら「これは画面が止まる裏技です」とかね。どう見たってバグだろって(笑)。それでウチは「それバグ技じゃん!バグ技と裏技は違うんだ!」と主張したね。ウチも最初はバグだったのに(笑)。】

〜〜〜〜〜〜〜

 懐かしい&面白くて、ついつい長い引用になってしまいました。
 16連射!で一世を風靡し、マンガやゲームの主人公にまでなった、高橋名人こと高橋利幸さんのインタビューの一節です。

 ファミコン直撃世代だった僕には、「裏技」(ウルテク、なんて言い方もありました)探しに夢中になった時期が確かにありました。
 「グラディウス」の最強コマンドとか、「ゼビウス」の無敵モードとか。
 当時のファミコン雑誌には、普通のゲーム紹介記事より「裏技」のページの方が多かったような記憶すらあります。

 その裏技のルーツが、この『ロードランナー』というゲームのバグだったんですね。しかし、このバグが発見されたとき、開発担当者およびバグをチェックする人は、顔面蒼白になったに違いありません。
 100万本も売れた大ヒットゲーム、しかも当時はカートリッジトによってゲームが供給されていましたから、これを回収して直してもとに戻す、なんてことは、あまりにも非現実的なことでしょう。大損害確実。

 しかし、そこに大逆転の発想が。
 「コロコロコミック」は、あの頃は子供たちの流行を支配していましたから、バグが「裏技」になってしまうことによって、僕たちは、ゲームに「誰も知らない裏技を探す」という新しい遊び方を見つけたのです。
 途中からはメーカー側もそれに気がついて、あえて「隠しコマンド」や「隠しステージ」を入れていましたし。

 「裏技」のルーツは「バグ」だったわけですが、確かに、どう考えてもバグで、何の役にも立たないのが「裏技」として紹介されていたこともけっこうありました。
 「スーパーマリオブラザース」の256面なんてすごく有名で、「カセット半分ずらし」とか、子供心にも、「それは壊れてるだけなのでは…」と思うような「裏技」でしたし。
 「これをやってファミコンが壊れても編集部は責任を持ちません」って書いてありましたが、そりゃそうだよね。壊そうとしてるようなものだもの。
 それでも、その「256面」の掲載誌はバカ売れしたのです。

 ああ、それにしても懐かしいなあ、「裏技」なんて。
 あのころのゲームには、作り手にも受け手にも、「ゲームなんだから、楽しければなんでもあり!」っていうおおらかさがあったような気がします。
 最近では、ゲームが多すぎて、裏技探してる余裕もないものね。
 何かあったら、すぐ「リコール!」だし。

 昨今トラブル続きの●イクロ●フト社も、ハドソンを見習ったらいいかもしれませんね。
 「セキュリティーホールが…」
 「それは、コンピューターの情報を外部に漏らすことができる『裏技』です」
 「ウイルスに感染して、パソコンがおかしいんです」
 「ああ、パソコンをフリーズさせる『裏技』ですね」

 やっぱり、ちょっと厳しいかな…