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2003年09月12日(金) ■ |
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「聞き上手」になるための、ちょっとした秘訣 |
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「気まずい二人」(三谷幸喜著・角川文庫)より。
(「人と話すのが苦手」という三谷さんが、「テレビを観ていて気になったみなさん(女性に限る)」との対談企画を終えての感想)
【この仕事で、普段テレビでしかお目に掛かれない憧れの皆さんにお会いして、じっくりお話し出来たのは、非常に貴重な体験でした。 ただし、ゲストの方々には、大変な迷惑を掛けたようです。 特に初期の頃は異常なほどに緊張していたため、ほとんど話が耳に入っていませんでした。今、読み返しても、会話を進行させようという心意気が微塵も感じられない。 対談のホストとしては、あまりに口数が少なく、しかもガチガチになっているので、ゲストの方は、逆に気を使って下さって、聞いてもいないのに、色々と楽しいお話を披露して下さいました。 そういう意味で、僕はかなりの聞き上手なのかも知れません。】
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世間には、「話し上手」「聞き上手」を自認している人はけっこうたくさんいるものです。 そして、多くの場合、「話し上手」という人は、他人が聞いている、いないにかかわらず自分のしたい話を延々と続け、「聞き上手」という人は、他人に「ねえ、何か面白い話してよ〜」とか言っていたりするわけなのですよね。 まあ、人間と人間の間には「相性」というのがあります。 「ずっと話してくれる人が寂しくなくて好き!」という人もいるでしょうし、寡黙な人の背中に魅力を感じる人もいるでしょうから、どういうのが「話し上手」なのか、定義するのは非常に難しいことだとは思うのですが。
僕はこれでも、「聞き上手」と言われることたまにあるのです。 自分ではその理由がよくわからなかったのですが、以前、後輩がこんなことを言ってくれました。 「先生は、話を黙って聞いてくれるからいいんですよ」って。 確かに、外来でお年寄りの話をずっと聞いていたりすると、ついつい話を切りたくなるんですよね。何かの統計では、医者が他人の話をじっと聞いていられる時間は、“5分”くらいなのだとか。 「短い!」と言われるかもしれませんが、自分の興味がある話や面白い話ならともかく、お年寄りの毎回同じ話を聞かされるのは、けっこう大変なこともあるのです。 「ああ、またシベリアの話から始まるのか…」と暗澹たる気持ちになることもしばしばなんですよね。次の患者さんも待っているわけですから。 それでも、「ただ話を聞いてあげる」だけで、患者さんというのは(とくに症状が安定している人は)、けっこう満足感があるらしいですし。
逆に、相手が異性などだと、自分が主導権を握りたくて、やたらと「話そうとしてしまう」という傾向もあるみたいです。 酒の席などで、他人同士の話を聞くともなく聞いていると、「これは、二人とも自分のことを話しているだけだなあ…」と思うことって、ないでしょうか?
「取らんとするものは、まず与えよ」という言葉があります。 他人に話を聞いてもらいたい場合、まず、他人の話に耳を傾けることって、けっこう大事なのではないでしょうか。 「他人の話に耳を傾けない人」と長時間話していたいと思いますか? しかし、そう考えると「聞き上手」なんてのは、ただ黙っていればいい、ってことになってしまいますよね。やっぱり、「適度なリアクション」も大事。 そうしないと「何よ、さっきからずっと黙ってて!私の話を聞いてるの?」ということになってしまいますし。
「聞き上手」を「質問上手」だと思い込んでいる人が多いような気がするのですが、僕は「黙り上手」のほうが「聞き上手」なんじゃないかなあ、と思います。 嘘だと思ったら、一度「とにかく途中で話を切らない。相手の話を最後まで聞く」と決めて、誰かと話してみてください。 黙って他人の話を傾聴するのって、意外とたいへんなのです。
「聞き上手」への道って、遠いよなあ…
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