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2003年07月21日(月)
なぜ人は時間を楽しく過ごさねばならないのだろう?

「牢屋でやせるダイエット」(中島らも著・青春出版社)より抜粋。

【だが、ではなぜ人は時間を楽しく過ごさねばならないのだろう。
 楽しい時間はあっという間に過ぎる。退屈な時間はじりじりとしか進まない。時間を早く進ませるために、人は楽しさを求めるのではないか。これがおれのたどり着いた答えだ。
 つまるところ、生きるということは、死ぬまでの時間をどうやり過ごすかということだ。時間との戦いと呼んでもいい。この戦いに勝たんがための武器として大麻があり、酒があり。全ての嗜好品があるのだろう。これらをうまく機能させれば、それだけ時間が早く進んでくれるのだ。】

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 中島らもさんの復帰第一作。彼が拘置所で考えたさまざまなことが書かれている本です。
 あんまり「反省している」という感じではなかったですけどね。まあ、それはそれで、らもさんらしいかな、と。

 人間というのは、ものすごく矛盾した存在ですね。みんな「長生きしたい」と思いながら、「楽しい時間を過ごしたい」と思っているんだから。
 本当に、長生きしたいと思うならば、「何もしない」もしくは「やりたくないことをやり続ける」というのが、もっとも「人生を長く感じられる方法」なのではないでしょうか。
 楽しい時間こそ長く続いて欲しいのに、そういうときに限って時間は早く過ぎてしまう。
 人間には「生への執着」と「死への衝動」の両方があるといわれますが、酒や嗜好品やギャンブルに溺れる、というのは、「退屈な人生を早く終わらせてしまうための手段」なのかのしれません。
ならば死ねばいい、と言われても、死ぬのはけっこう勇気がいることだし、いろいろしがらみもありますからね。

 僕たちにとって、人生ってやつは、退屈で嫌なことばかりが多いものなのかもしれません。酒を飲んだからって、問題は解決するわけじゃない。でも、飲まずにはいられない。
まあ、たいがいの「問題」は、時間が経てばなんとなく解決してしまうものですから、一概に間違った方法、とは言えないような気もしますが。

 結局、僕たちは時間を早く進めるために、酒やタバコやギャンブルや恋愛、ときには勉強や仕事に溺れているのかもしれません。
 そして、酒やギャンブルや恋愛に付随して発生する問題で、さらに退屈をしのいでいる、ということなのです。
 これらの悩みの種の多くは、「自分から関わろうとしなければ、自分には何の影響もなかったもの」なのにね。

 まあ、少なくとも今の日本では、「大麻」という道具を時間を早くすすめるのに使うのは、オススメできませんけど。