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2003年07月16日(水)
僕が「フェロモン」を感じるとき。


「村上ラヂオ」(村上春樹・文、大橋歩・画:新潮文庫)より。

【ワインを選び、料理を注文し、それが運ばれてくるのを待ちながら、二人の会話を聞くともなく聞いていると(というか、勝手に聞こえてきたんだけど)、「この二人は、深い仲になる直前なんだな」ということがわかった。内容的にはごく普通の世間話をしているだけなのに、声のトーンでおおまかな筋は推測できる。僕もいちおう小説家のはしくれなので、そのへんの男女の心の機微はある程度読める。男性は「そろそろ誘おうかな」と思っているし、女性の方も「応えてもいいかな」と思っている。うまくいけば食事のあと、どこかのベッドに向かうことになるかもしれない。テーブルの真ん中にフェロモンの白い靄(もや)が漂っているのが見える。僕のテーブルの方は、結婚して30年にもなるので、さすがにフェロモンはあまり漂っていない。でも幸福そうな若いカップルというのは、はたで見ていても悪くないものだ。】

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 さすが村上さん、「悪くない」なんて余裕です。
 僕の場合は、自分の好みのタイプの女の子が、僕の隣の席で感じ悪い男に口説かれていたりすると、心の中で「騙されちゃダメだ!」というテレパシーを送ってみたりするのですが、あんまり成功したためしがありません。
 隣で大喧嘩がはじまったりしたら、それはそれで困ったものですが。

 それはさておき、フェロモンって、ある程度人類共通のものなんでしょうか?
 けっこう、人によって「フェロモンを感じる相手」というのは違うと思うのですが。
 僕は以前、後輩の女の子たちと飲みに行った席で、「職場で誰がフェロモンが出ているか?」と聞いてみたことがあるのですが、それはけっこう意外な答えだったような気がします。
 「男からみたイイ男」というのは、意外とフェロモン度数が少なかったりするんですよね。逆に、「えっ、あいつのどこにフェロモンが!?」という人の名前が挙がったり。
 もちろん、同性からみても、異性からみてもフェロモン出しまくりの人間、というのは厳然として存在するみたいですけど。

 しかし、僕自身は、あんまり世間一般の「フェロモン系」には惹かれないんですよね。
 なんだか「この人は手に負えないな」という感じが先に立ってしまいます。
 今の日本で「フェロモン系」といえば、叶姉妹とか藤原紀香とかになるのかな、たぶん。
 実際は、僕の周りには「叶姉妹に一度お願いしたい」というヤツはいても、「叶姉妹のファン」なんて人は、ひとりもいないんだけどなあ。

 過去の経験からも、いわゆる「フェロモン系」の人と仲良くなったことすら、一度もないような気がします。疲れそうだし。

 だいたい、男がカッコつけてレストランで女の子を口説くシーン、っていうのは、傍からみれば、これほど滑稽な光景もそんなにないと思いませんか?

まあ、よく考えてみると、僕にとってのフェロモンというのは、ちょっと「笑い」の要素を含んでいるのかもしれませんね。
 あんまり完璧な状況っていうのは、かえって笑えたりするものですし、笑いのポイントが近い人、というのは、好むもの、嫌うものが近いような気がしますし。

 自分が好感を持っている相手からは好感を持たれることが多い(逆もまた然り)というのは、お互いに似ているフェロモンを持っているから、なのでしょうか?