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2003年05月30日(金) ■ |
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「フリーターは自由だ」という幻想に騙されるな! |
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共同通信の記事より。
【竹中平蔵経財相は、2003年度の国民生活白書「デフレと生活−若年フリーターの現在」を30日の閣議に提出した。 長びくデフレと雇用環境の悪化で若年層フリーターが増加。これにより若者は職業能力向上の機会を奪われ、日本経済の競争力が低下。一方で低所得による未婚・晩婚化は「少子化を深刻にさせ、経済成長が制約される恐れがある」と危機感を示し、政府・日銀によるデフレ克服と、雇用拡大策の重要性を指摘。企業が求める人材の高度化、即戦力化に対応し「高校や大学の教育を見直すことも必要」と訴えた。 白書によると、フリーターの数は1990年の183万人から年々増加し、01年には417万人。学生と主婦を除く15−34歳の若年層人口の21・2%を占め、10年前の10・1%と比べ倍増。特に25−34歳の増加が著しい。】
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フリーターというのは、結構自由なイメージもあり、若者たちにとっては、あまり抵抗がない言葉のようです。 好きなときに働いて、自分の時間を過ごす。会社に縛られるなんて、まっぴらごめん。人間関係の煩わしさも少ない。 そういうのって、なんとなく憧れますよね。
でも、今30歳を超えた僕からみると、フリーターって、全然魅力がないのです。というか、騙されちゃダメだよ、としか思えない。 例えば、劇団に所属していて、レッスンを受けるためには、会社勤めはムリだとか、バンドをやっていて、プロになりたくて活動しているため、現在はフリーターとか、そういう目的のための手段としてフリーターをやっている人は、まったく問題ないと思います。 役者やミュージシャンなどの夢は、大部分の人には叶えることは困難ではあるとしても。 ただし、「自分が何をやりたいのかわからない」から、とりあえずフリーターとかいう生き方は、あんまり良いものではないんじゃないかなあ、と。
竹中財務相の発言をよく読んでみてください。 なんとなく自由なイメージがあるフリーターというのは、裏を返せば、企業にとっては、「とくに人材として育成する必要もない(使い捨てにできる)、福利厚生が正社員ほどちゃんとしていなくてもいい、安い賃金で使える」貴重な労働力である、ということなんです。 日本全体の少子化傾向なんてのはさておき、いちばん困るのは本人。 フリーターのまま年を重ねても、特殊な技能が身に付くわけでもなく、給料が劇的に上がるはずも無く、将来の保障や失業保険もありません。もちろん、退職金だってありません。 もちろん、会社勤め(これは、研修医などの専門職も含めて)なんて、給料は安いし、休みは少ないし、人間関係は煩わしいし、仕事は面倒です。 でもね、「自分が探している、やりたいこと」って、「誰にでもできる、単純で勉強も修行もしなくて良いこと」なわけないと思いませんか?
「やりたいことが見つかるまでフリーター」なんていうのは、聞こえはいいけれど、何もメリットはありません。それ以前に、やりたいことを見つける努力もせずに、ある日突然やりたいことが閃くなんてことは、まずありえませんし。 ミュージシャンだって、いきなりプロを志向したわけじゃなくて、兄弟の楽器や女の子にモテたい!という理由で楽器の練習をしているうちに、それで食べていきたいと思うようになった人がほとんどでしょうし、ある日突然、神のお告げでギタリストになった、なんて人は、あまりいないのではないでしょうか?
まあ、フリーターとして仕事をしているうちに、その仕事に興味が出てきたりすることはあるんでしょうけれど。
会社勤めや専門職だけが人生だとは思わないけれど、なんとなくフリーターをやって自由に生きている、と自分では思っていても、裏を返せば、企業に便利な労働力として利用されているだけ、ということは、覚えておいて損はないと思います。 この御時世ですから、仕方なくフリーターやってる人ばっかりだとは思うし、会社勤めだって、必ずしも安泰とはいえないんだけど。
自由にさせてもらえる人生、っていうのは、意外とつまらないものですよ、きっと。
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