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2003年05月20日(火)
朝青龍よ、播磨灘を目指せ!


サンケイスポーツの記事より。

【横綱朝青龍(22)がモンゴルの先輩、旭鷲山(30)に引き落とされて初黒星。敗戦後、土俵上で相手にガンを飛ばし、支度部屋でも暴言を繰り返した。街のけんかのようなシーンの主役となった横綱に、北の湖理事長(元横綱)も不快感をあらわ。「横綱失格」といわれても仕方のない狼籍に、非難の声が爆発した。

 神聖な土俵で、街のけんかのようなシーンが現出した。

 シーン(1) 仕切り制限時間いっぱいの立ち合いでじらす旭鷲山に突っかけて、思いきり突き飛ばした。もんどりうって仰向けに倒れた旭鷲山。朝青龍は取組後、「手をなかなかつかねえんだよ、アレが」と吐き捨てた。

 シーン(2) 2度目に立った後、旭鷲山の突きが顔面に入り、カッとなって前へ。しかし、土俵際で旭鷲山がヒラリと飛んで体をかわすと、前へバッタリ。その瞬間に左手で蛇の目の砂を指さして「足が出てるだろ」と審判員にアピールした。

 シーン(3) 敗戦後、互いに二字口に戻る際に左肩がぶつかると、冒頭のガン飛ばしだ。さらに自らの"さがり"を勢いよく取り外しざま、旭鷲山の左腕をバシッ。礼もそこそこに土俵を後にした朝青龍は、支度部屋の風呂に入って「チクショー!!」と叫んだ。

 連続優勝を飾った初場所後の横綱審議委員会で満場一致で横綱昇進が決まったが、その際に「態度が悪い」とヤリ玉にあがり、「品格がないようだと降格させてもいいのでは」との声まで出た。その課題であった「品格」が改めて問われる暴挙。北の湖理事長(元横綱)は「横綱というものは負けたときこそ、悔しさを抑えなければいけない。あの態度はよくない」と猛省を促した。

 朝青龍は支度部屋で不敵な笑みを浮かべ、「来場所は張り返す。今度からはたくやつは罰金だ。そんなことするから相撲がつまらなくなるんだ」とまくし立てた。

 過去にも品格を問われた横綱はいた。戦前に活躍した玉錦は、けんかが絶えず、協会幹部を日本刀で襲ったこともあった。初場所で引退した貴乃花も、巡業先で高校生を張り飛ばして問題になった。しかしその後、2人は心身を充実させ、玉錦も貴乃花も「大横綱」と呼ばれる力士に成長した。朝青龍はまだ22歳。日本、モンゴル両国の期待を一身に背負うだけに、周囲の適切な助言を受けて成長を信じたいが…。】

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 神聖なるはずの横綱の狼藉行為に、非難轟々、といった雰囲気のようです。
 朝青龍の今回の行為は、確かに乱暴ではありますよね。プロレスじゃないんだから、場外戦は、あんまり行儀の良いことではないでしょう。
 しかし、横綱の品位、と言いますが、さて、そんなに品位が要求されるものなんでしょうか?
 玉錦の「日本刀を持って、協会幹部を襲撃した」なんて話は、いくら戦前の話とはいえ仰天ものですが(貴乃花の話は、高校生も悪いと思います)、過去の横綱がすべて人格者かと言われると、僕は首をかしげまくってしまいます。
 有名どころでは、引退後迷走しまくっている花田勝こと若乃花や、もはや相撲史から、SMAPの森さんのように抹殺されている北尾こと横綱双葉黒(この人は、おかみさんを殴って相撲界から去ってしまったのです。これでも横綱か!、というより、大人失格という感じなんですが)など、トンデモナイ横綱というのは、けっこういるんですよねえ。
 少なくとも、土俵の上のことだし、双葉黒より3億倍くらいマシ。それに、そんな横綱を選んだということに対して、相撲協会が責任を取ったという話も聞いたことがありませんし。
 それに、「モンゴルの先輩に対して失礼」というのも、モンゴル人力士をみんな一まとめににてしまおうという日本人の思い込みなんじゃあいかなあ、と。
 逆に、同じ国の人に負けると悔しい、という人もいるでしょうし。

 「ああ、播磨灘」というマンガをご存知でしょうか?
 あのマンガは、主人公の横綱・播磨灘がケタ外れの強さと常識破りの破天荒な行動(マスクをかぶって入場してきたり、倒した相手を蹴飛ばしたりするのです)で、相撲界を震撼させながら連勝街道を突き進んでいく、というストーリーなのですが、ムチャクチャやっていても、播磨灘は、なんとなく「聖なる」イメージがあったんですよね。
 僕が、あのマンガを読んでいて思ったのは、やっぱり力士が「神聖な存在」であるのは、「強いから」だと思うのです。何者にも打ち勝つ、圧倒的な力、それこそが、古来力士、ことに横綱を「聖なるもの」たらしめてきた原動力なのではないでしょうか。

 そう考えると、朝青龍に「品位」を要求するよりも「なにものにも動じないくらい強くなる」というのが、より相撲の本質に近いのではないかと思います。
 
 どうせだったら、朝青龍にもマスクかぶったり、テーマソング流したりして、悪のロマンを追求してもらいたい気もするんですけどね。

 悲しいことですが、最近の相撲界でもっとも大きく取り上げられたのがこの話題なのは、間違いないことですし。