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2003年05月19日(月) ■ |
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SARSが広める、もう一つの眼に見えない恐怖。 |
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共同通信の記事より。
【「ほかの客の安全を考えて、台湾や中国をはじめ、欧米からの客も受け入れない」。18日、新型肺炎(SARS)と確認された台湾医師の宿泊先として名前が公表されたホテルはそろって台湾などからの「旅行者お断り」を決め、拒否の対象を外国人すべてに広げるホテルも出てきた。 医師が8、9両日宿泊した大阪市天王寺区の都ホテル大阪は「台湾には積極的に営業活動してきたが、客の不安をぬぐうため」と台湾、中国、香港からの宿泊者拒否の理由を説明する。 キャンセルは宿泊、宴会、レストランを合わせて約2300人、総額2043万円に上るが、大阪市にはホテル名を公表していいと伝えてきたという。ただ「2次感染の可能性も低く、衛生面も問題ない」として、営業は自粛しない。 「外国人お断り」は医師が11日に宿泊した小豆島グランドホテル水明(香川県・小豆島)で、21日まで営業を停止している。】
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ついにSARS日本上陸!しかも、持ち込んだのはよりによって台湾の医師。 半ばパニック状態になっているSARS上陸騒動なのですが、正直、SARSが上陸しないはずがないのではないか、と僕は思っていました。 今現在の日本の防疫体制は、空港での体温チェックと問診のみ。 日本に着いたときに自覚症状がない人や、この台湾人医師のように解熱剤を使ってしまっていたりする場合には、引っかからなくても、全然おかしくないんですよね。 しかも、これだけ海外との人間の交流が多くなり、さらに不可欠になってしまっている現在、感染者を水際で食い止めることができるほうが、よほど幸運なことではないかと。 もちろん、空港でできる防疫には、限界があるというのはよくわかるのですが… しかし、この医師は、SARSが発症している病院で働いていたそうで、自分にも感染のリスクがあるということは、充分に理解できそうなものなのですが… それでも、自分は違う、と考えてしまいがちなのが人間なんでしょうね。 知識があるはずの人だけに、なぜ?と感じてしまうのですが。
それにしても、このホテル側の対応は、僕はちょっと不安なのです。 「中国・台湾・香港からの旅行者お断り」ということにはしても、「2次感染の可能性も低く、衛生面も問題ない」として、ホテルの営業は自粛しない、というのは、矛盾している気がするのですが。確かにホテル側は被害者ではあるのですが、これでは、このホテルそのものが2次感染源となる可能性は否定できないと思います。 まあ、それ以前にこのホテルに泊まるお客さんは激減してしまうでしょうけど。
さらに「外国人お断り」というホテルに至っては、何だそれは?という印象しか受けません。 感染地域だけ(それでも、かなり差別的ではあると思いますが)の排除のみならず、外国人は全部ダメ、なんていうのは、まったくもってナンセンスな発想。 自分がアメリカで「中国に近い国だから泊まるな!」とか言われたら、どんな気持ちになるでしょうか? 以前「SARSが流行しているから」という理由で、当時は全くSARSが発症していなかった日本での試合を見合わせた、サッカーのポルトガル代表の話があって、僕はそのとき、「ヨーロッパからすれば、中国も日本も似たようなものなんだな」と思ったのですが、このホテルからすると、「日本の外は、みんな同じ」だということのようです。こっちのほうが、はるかに凄い発想。 空いてるから、という理由で、この時期にUSJに遊びに行っている日本人もたくさんいるっていうのに。
この病気そのものも恐ろしいのですが、SARSによる不可思議な差別意識への感染にも、僕たちは注意することが必要だと思います。 病気は病気、人間は人間。
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