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2003年05月18日(日) ■ |
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医者の肘かけ椅子と患者の回転椅子。 |
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「医人岳人―脇坂順一聞書」(荒木久著・西日本新聞社)より抜粋。
75歳にして海外高峰百登頂を達成し、医者としてだけでなく、登山家としても有名だった医師・脇坂順一さんへのインタビューから。
【一時は、こちらが座っていた肘かけ椅子と患者さんの回転椅子を取り換えたりもしました。奉仕の精神をさっそく実行しようとしたのですが、これは背中を聴診するときにやはり具合が悪い。で、また元に戻しました。 要は治療の姿勢に奉仕の精神がこもっているかどうかで、これはその後も、ともすれば緩みがちな治療の態度にどれだけ力になってくれたか分かりません。】
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確かに、一般的なサービス業では、お客さんより店の人が立派な椅子に座っている、ということは、まずありえないわけで。 なんかちょっと申し訳ないなあ、と思っている医者はけっこういると思うのですが、実際に取り換えてみた、という話ははじめて聞きました。 確かに、背もたれがある椅子だと、背中を聴診するときに、患者さんに逆向きに座ってもらったりするのは、かえって大変ですよね、なるほど。まあ、実際にやる前にわかるんじゃないか、という気もしなくはないですが。 それに、何も医者が回転椅子に座らなくても、両方楽な椅子に座ればいいのではないかと。ちなみに、精神科のカウンセリング等の状況下では、比較的医療者も患者さんもリラックスできるように楽な椅子を使われていることが多いようです。 まあ、効率を考えて、ああいう椅子になっている、ということなのですが、回転椅子にしても、もうちょっといい椅子でもいいんじゃないかなあ、と僕は思ってしまうのですが。 座れないくらい具合の悪い患者さんは、ベッドに寝ていただく、ということなんでしょうか。 でも、こういうふうに「形から入ってみる」という姿勢が、本当はすごく大事なのかもしれませんね。やってみる前から「そんなの診察しにくい」と決め付けてしまうよりは。 しかし、僕も患者として歯医者などの病院に行くことがあるのですが、病院って、あんまりサービスが良すぎると、かえって気持ち悪いような感じがするのも事実。 「こんなに丁寧で、何かたくらんでいるのではっ!」なんて。 「〜様」とか呼ばれたり、すごい敬語を使われたりすると、なんだか不安。 病院で『いらっしゃいませ!』とか言われたり、割引サービスとかあったら、かえって怖い。 まあ、医者が立派な椅子に座っているのは、「自分を診る人間は、立派な人であってほしい」という患者さんの希望も反映されているのかもしれません。
それに、ずっと座って外来やってると、けっこうお尻にコタエルんですよねえ。
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