|
|
2003年04月30日(水) ■ |
|
カメラ付き携帯電話では、記録できないもの。 |
|
ロイター通信の記事より。
【NTTドコモは「iショット」サービス対応カメラ付き携帯電話機の累計稼働台数が29日に1000万台を突破した、と発表した。2002年6月のサービス開始以来、わずか11カ月での1000万台突破となった。 この結果、カメラ付き携帯電話機の稼働台数でドコモが国内首位に踊り出た。J─フォンの「写メール」サービス対応カメラ付き携帯電話機は、3月末現在で901万5000台。J─フォンの広報担当者によると、きょう現在でも1000万台に届いていない。J─フォンは2000年11月にサービスを開始して以来、2年半にわたり守り続けてきた”カメラ付き携帯ナンバー1”の座をドコモに明け渡した。 Iショット対応機は現在11機種。全契約数に占める比率は約25%となっている。】
〜〜〜〜〜〜〜
1年足らずで1000万台!とにかくこれはすごい数字です。 僕の周りには、まだそんなにカメラ付き携帯を使っている人はいないのだけれど、たぶん、みんな次に買い換えるときはカメラ付きってことになるんでしょうね。 今の状況では、新しい機種に換えるときには「カメラ無しの機種」を自分から積極的に選ぼうとしない限り、カメラ付きの携帯になってしまいそうですし。
しかし、あの携帯のカメラって、みんなうまく使えているんでしょうか? 先日、小林よしのりさんの講演を聴く機会があったのですが、彼は、「わしが新幹線とかで移動していると、みんなカメラ付き携帯でカシャカシャ写真を撮っている。普通、誰かの写真を撮るときは、「いいですか?」って訊くものなのに、あの携帯のカメラは、みんな断りなく写真を撮るから、うるさくてかなわない。わしのプライバシーはどうなってるんだ!」と怒っていました。 まあ、あのカシャカシャうるさいのは、技術的な問題ではなくて盗撮防止のためだそうなのですが。 僕は有名人ではありませんから、勝手に写真を撮られて不愉快な思いをすることはないのですが、正直、世間にそんなに写真に残しておくべきものがあるのかなあ?と思わずにはいられません。 去年花火大会に行ったときに、花火の写真を写メールでずっと撮っていた高校生くらいの女の子や披露宴会場で、ずっと新郎新婦をカシャカシャやっている招待客。 花火なんて、写真で見てもあんまり面白いものじゃないし、カメラマンでもない人が、出された食事にも手をつけずに、ずっと携帯で写真をとりまくっているのは、周りからみるとちょっとなあ、という感じでした。 ビデオの普及で、いろんな番組が録画できるようになってしまった代わりに、結局録画して安心してしまったまま観ることなくどこかへいってしまった番組のように、記録することにばかり夢中になって、「体験すること」が無くなってしまうのではないかと、ちょっと心配なのです。
原始時代は、文字や映像としての記録が残っておらず、人々がどんな暮らしをしていたのか現代の僕たちには想像でしかわかりません。 その後、文学や遺物などで、人類の歴史というのは繋がれてきました。
でも、こんなにいろんな記録が氾濫してくると、これからの歴史学者は、どの記録を読むべきか、非常に頭を悩ませることになるでしょうね。 僕らが遺そうとしている莫大な記録も、省みられないままゴミになってしまったり、データが消えてしまうものがほとんどなのです。 結局、人類はある一定の量の記録しか後世には残せないのかもしれません。
これからは、記録よりも体験の時代になるような気がします。 いや、僕も写真撮るのは好きなんですけど、役に立たない記録を残すためだけの人生は、それはそれで寂しいなあ、とも思うのです。
それにしても、黙って他人の写真を撮るのは、やっぱり失礼だよなあ。
|
|