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2003年04月26日(土)
魔界転生は、真界天生ナリ。


「九州ウォーカー・2003・No10」の映画「魔界転生」の特集記事、窪塚洋介さんのインタビューより。

【窪塚「前作の『魔界転生』(監督・深作欣二)では、冒頭の部分に文章が出てくるんです。『魔界転生は、真界天生ナリ』っていう。この一文で、いろんなことがスッキリ見えてきた。おもしろいのは、映画が進むにつれて魔界衆がどんどん人間っぽくなって、人間は魔物っぽくなっていった、と監督が言ってたこと。それが”真界”なんだと思います。『陰と陽でひとつ。敵は己の中に』って。単純にエンターテインメントとして楽しんでくれたらいいんですけどね(笑)」】

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 今回22年ぶりにリメイクされた映画「魔界転生」なのですが、僕も旧作での沢田研二の妖しい天草四郎をなんとなく覚えています。
 山田風太郎原作のこの「魔界転生」現世に悔いを残して落命した武術の達人たちが、復活した天草四郎の秘術「魔界転生」によって現世に蘇り、幕府転覆をはかるという話。

 まあ、映画の詳細なストーリーはさておき。
 この窪塚さんのコメント、非常に意味深長だなあ、と。
 なんだか、これを読んで、僕は昔同級生の女の子に聞いた言葉を思い出しました。

 もう10年くらい前の話、僕たちは医学部の学生で、解剖実習というのをやっていました。
 亡くなられた片の御遺体を人間の体の構造を理解するために解剖していくわけですが、だいたい、6〜7人で1グループとして、僕たちは実習をやっていたのです。
 もうだいぶ期日が迫ってきていて、僕たちは休みの日も実習をしに学校に出てきていたのですが、ある日、僕が実習室に行くと、その女の子はひとりで解剖をやっていました。
 実習室には、彼女のほかには、御遺体がずらっと安置されて(もちろん、布にくるまれている状態ではあるのですが)、生きている人間は、彼女だけという状態。
 僕は、彼女のところに行って、思わず、こんなふうに訊ねました。
 「御遺体に囲まれていて、怖くないの?」って。
 すると、彼女は答えました。
 「全然。生きている人間のほうが、よっぽど怖いよ」と。

 あれから10年。僕も、彼女が言っていたことがわかるようになってきた気がします。
 僕たちが「魔物」だとイメージしているものは、みんな人間がモデルになったり、人間の想像力から産まれてきたものです。
 100%善なる人間も、100%悪である人間も、この世界には存在していないのでしょうし、きっと、僕の中にも「魔界」に引き寄せられる面があるのだと思います。

 やはり、人間にとって最も怖いのは、人間なのかもしれませんね。