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2003年03月11日(火) ■ |
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愛だの恋だのなんて、ちゃんちゃらおかしくて… |
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日刊スポーツのインタビュー記事「日曜日のヒロイン<353>」より抜粋。
(「涙そうそう」の作詞や「さとうきび畑」で知られる歌手・森山良子さんのインタビュー記事より)
【この歌(さとうきび畑)の大切さを再認識させる言葉があった。戦争の世代を生きた母親の一言だった。湾岸戦争が起きた91年、コンサートを見に来ていた母から、胸に刺さる言葉をかけられたのだ。
森山「このころも『愛』や『恋』だのといった歌を中心に歌ってたんです。いつも辛らつなことを言う母が『世の中がこんなことになってるのに、愛だの恋だのなんて、ちゃんちゃらおかしくて、なんかもうちょっと考えて歌ったら』と言ったんです。 実にそうだな、と思った。母が言うようなものもしっかり歌っていかなきゃいけないと、心に深く刺さりましたね。」】
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森山さんは、以前はこの「さとうきび畑」という歌に対して、「私は、戦争を知らない子供たちの世代だったので、この歌を受け入れる実感がなかった。歌うのがうそっぽい気がした」という気持ちを抱いておられたそうです。 確かに、歌の題材って、8割から9割くらいが「愛」や「恋」の歌のような気がします。まあ、それは、「愛」や「恋」が人類普遍のテーマであり、共感する人も多いということなんでしょうね。 それでも、ときには「愛や恋」ばかりの歌に、「何か他に歌うことはないのか?」と思ったりすることはないですか?僕はたまにあるんですけど。 しかしながら、実際に「戦争」をテーマにした歌を繰り返し聴くことは、やっぱり辛いことではあるんですよね。聴くほうとしても、重すぎるというか… 「世の中がこんなになっているのに、愛だの恋だのは、ちゃんちゃらおかしい」という森山さんのお母さんの言葉は、確かにその通り。「それどころじゃない!」という気持ちも理解できます。 でも、そう感じる一方で、結局、戦争を防ぐのもひとりひとりの「愛」の力なのかな、とも僕は思うのです。甘いのかもしれないけれど… 歌には、不思議な力を持っています。愛情を伝えることもできれば、戦争のときには兵士たちに勇気を与える場合もあります。 「甘すぎる愛の歌」が、「軍歌」にとって変わられらいことを僕は願わずにはいられません。
「愛」や「恋」どころじゃない。 でも、人間にとって、それがいちばん大事なことなのかもしれない。
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