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2003年02月28日(金) ■ |
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「居眠り運転士」と責任ある仕事に必要なこと。 |
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朝日新聞の記事より。
【26日午後3時20分ごろ、岡山市のJR山陽新幹線岡山駅で、広島発東京行き「ひかり126号」(16両編成、乗客約800人)が、所定の位置より約100メートル手前で止まり、3両ほどがホームからはみ出したままになった。車掌が運転席に駆けつけると、男性運転士(33)が腰掛けたまま眠っていた。
JR西日本の調べに対し、運転士は岡山駅の約26キロ西の新倉敷駅付近から「記憶がない」と話したという。通常は時速270キロで走行する区間で、岡山駅到着まで約8分間居眠りをしていたらしい。
起こされた運転士が「病気ではなく、運転できる」と話したため、9分遅れで岡山駅を出発。同社は運転免許を持つ車掌を同乗させ、新大阪駅まで運転させた。
新幹線は自動列車制御装置(ATC)で、停車駅が近づくと段階的に速度が落ちる。時速30キロまで減速した時点で運転士がATCを解除し、手動で所定の停止位置に合わせている。ATCは正常に作動しており、運転士が操作をしなかったため所定位置の手前で止まってしまったらしい。
運転士は26日午後2時に広島新幹線運転所(広島市)に出勤。25日は公休で約10時間の睡眠をとったといい、持病もなかったという。94年2月に運転免許を取得、計2年9カ月の運転歴があった。 】
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このニュースを聞いて、多くの人の命を預かる運転士が居眠りなんて!と愕然とされた方も多いのではないでしょうか? どうも前日にけっこう酒を呑んでいたらしいのですが… 以前、飛行機に乗っていて、前の席に向かい合わせに座っていたCAさんと話す機会があったのですが、僕が「パイロットって、憧れの職業ですよね」と言うと、彼女は「でも、けっこう大変なんですよ。実際は、ずっと操縦室に副操縦士と10時間以上も籠もりっきりで、自動操縦装置で飛んでいる間は、そんなに細かいことはしなくていいけれど、話し相手もいないし…」と教えてくれました。しかし、よく考えてみると、不思議な話ですよね。 ドラマでは、難癖をつける客によるトラブルとか。嵐の中の着陸がクローズアップされるのに、彼女はまず、「運転席での退屈」をパイロットの辛いところとして挙げてくれたのですから。 そういえば、医者という仕事も、そうかもしれません。 よく、手術とか、外来とか、大変ですよね…と声をかけていただくのですが(もちろん、それも大変な仕事ではあるのだけれど)実際は、体調が悪いときに突然夜中にポケベルで呼び出されることや眠くて帰りたいのに診断書が山のように積み上げられているときのほうが、本人にとっては憂鬱だったりするのです。 手術や急変時などは、「大変だ!」と思いつつも、意外と体は動いてしまうもの。
この新幹線の運転士には、全然悪気はないとは思うのですが、こういう日常の退屈に耐える能力というのは、ドラマチックな場面への適応力と同じくらい、人の命を預かる仕事には必要なのかもしれませんね。
現実的には、そんなにフライトごとに客が暴れる飛行機なんて、存在しないわけですし。
それにしても、新幹線の自動操縦システムっていうのは凄いですね。でも、それ以上にあんなにピッタリ列車を停止線に停める運転士というのは、すごいんだなあ。 いや、僕は最近の新幹線って、ほとんど自動操縦で、それこそ「居眠りしてても運行できる」くらいのイメージだったものですから。
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