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2003年02月25日(火) ■ |
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「拉致被害者」と「脱北日本人妻」の保護されるべき範囲。 |
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毎日新聞の記事より。
【帰国事業で北朝鮮に在日朝鮮人の夫と渡り、その後中国に脱出し、先月日本に44年ぶりに帰国した日本人妻(64)に対して、東京都葛飾区が生活保護法に基づき、生活費などの支援をしていることが分かった。政府は、帰国事業で渡った元在日朝鮮人や日本人妻数十人が極秘に帰国していることを明らかにしているが、この女性は公に帰国した初めてのケース。今後、帰国した日本人妻の支援のあり方に一石を投じそうだ。
区によると、女性は、今月18日から同区内に居住。本人から申請があり、「生活保護の必要がある」と判断した。支給額は、60〜69歳の生活費支援の基準額や1人所帯分の支援金など1カ月当たり計8万3540円。同法は、住宅の家賃として、月額5万3700円以内を支給するとしており、女性の家賃はこの額より少なく、全額が補助されているという。
女性は1959年12月に夫とともに北朝鮮に渡り、昨年11月に中国に脱出。女性の身柄と引き換えに日本の外務省に現金の要求があったことから、中国当局が今年1月15日、韓国籍の男と一緒にいた女性を保護。女性は同29日に帰国した。
日本人妻らの支援については、政府内では、一時金の支給や国民年金の保険料免除を可能にする新法が検討対象になっている。しかし、拉致被害者と異なり自発的に北朝鮮に渡ったとみなされる帰国者の場合、優遇措置を含む新法には批判的な指摘もある。
脱北者25人を日本に受け入れてきたNGO「北朝鮮難民救援基金」によると、これまでに生活保護を受けたのは、病気を理由とした1人だけ。加藤博事務局長は「生活はいずれも苦しいが、帰国者だからと生活保護を適用すれば、国民の中には不公平感を持つ人がいるのではないか。一時的な支援金給付などを盛り込んだ新法が必要」と話している。】
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う〜ん、64歳の女性で、北朝鮮で過酷な目に遭ってきた人に、今から、この不景気の日本で職を探して働け!と要求するのは、あまりに酷な気はするのですが。
拉致被害者の方々は、いわゆる日本の「国策」のために犠牲になった人たちですから、国によって保障されて然るべきだと思います。まさに「被害者」であり、日本政府だって、ある意味加害者の一員なわけですから。 「森昌子さんのコンサートに呼んであげるから、北朝鮮に20年行ってきて」とか言われても、まっぴらゴメンですよね。もちろん宇多田ヒカルのコンサートでも。 しかし、もしもこの人が、南米へ移民していった人だったら、僕たちが受ける印象はどうでしょうか?この記事の中でも触れられていますが「リスクを承知で(まあ、他所の国に渡るという行為には、とくに何十年前では、ある種の賭けだったということは、否定できない面があるでしょう)自分から行ったのだから、失敗したらしたで仕方がないんじゃない?」と思う人も多いと思うのですが。
「北朝鮮は『地上の楽園』だと思っていた、騙されていたんだ」と言ってみたところで、それは確かに騙すほうも悪いですが、信じ込むほうにも問題はあるでしょう。 そんなこと言い始めたら「絶対儲かると言われたので信じて入ったネズミ講」や」「絶対当たると信じて買った馬券」とかにも、騙されてかわいそう、ということで、社会保障が適用されないとおかしくなってしまいますし。
まあ、今の日本では「北朝鮮で酷い目に遭った」ということなら、北朝鮮憎しの感情から、なんでもまかり通ってしまうかもしれませんが。
この64歳女性のことを個人的に悪く言うつもりはありませんが(年齢的にも、今から働いて自活しろ、というのは難しいでしょうし)、これからは、「北朝鮮絡み」だからといって、何でも基準を緩くする、というようになってはいけないと、僕は思っています。 生活保護という制度自体が悪いと言っているわけではありません。 そういう社会保障制度は、一応文明国であることの証です。 ただ、日本で地道に頑張って税金も払ってきたのに、事故や病気などのさまざまな事情で「保護」されるべき存在となってしまった人が、現実には保護されていないケースを目にすることが多いものですから。
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