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2002年12月17日(火)
ディスカウント町長に思う、仕事の対価。


朝日新聞の記事より。

【福島県浅川町議会は17日、町長給与を50%削減する条例改正案を賛成多数で可決した。10月の町長選で5選された富永健哉町長が公約に掲げ、改正案を提案していた。総務省給与能率推進室によると、50%削減は「全国的にも極めて珍しい」と話している。
 条例によると、町長の月額給与は現行の75万8000円から37万9000円になる。期間は来年1月から06年10月末の町長の任期まで。課長職の平均給与を下回り、町職員82人のなかで32番目になるという。町は「全国の市町村長の中でも最低水準と思う」と説明している。

 富永町長は精密機器会社の創業者で現在もその役員。「4期16年務めた恩返し。行政改革を国が率先して進めてほしいという意味も込めた」と話した。削減によって浮いた分は、学校図書の購入や子育て支援事業などに充てるという。】

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 自分の給料をカットして、その分を学校図書の購入にあてるなんて、すばらしい町長ですね、立派な人だ!公務員の給料は、高すぎますしね…
 といいたいところなのですが、僕は、この話を素直に「美談」として受け取れないのです。
 ちょっと前に「課長・島耕作」をいう漫画を読んでいた際に、主人公の敬愛する上司である中沢氏が、たくさんの先輩の頭越しに新社長に指名されるシーンがありました。
 そこで、中沢新社長に対して前社長は、自分の使っていた高級腕時計を贈り、こういうのです。
「これから君は、わが社の象徴だ。贅沢をしないのが君自身のポリシーだとしても、他人の目は、われわれの会社の新社長の腕時計やスーツをしっかり見ている。
あまり質素だと、かえって変わり者だと思われてしまうんだ。
 相手を困惑させないような格好をして、自分を演出することも、社長としてやっていくには必要なんだ」と。
 
 この町長は、「長年務めた町への恩返し」と言っておられるようですが、もともとお金があるということも、たぶん給料カットを公約にできた一因なんだと思います。
 でも、国会議員の給料が高いのは何故か?
 会社では、社長の給料が高いのは何故か?
 それは、「責任ある立場」だからに他なりません。
 給料が高いと感じるのであれば、個人的に50%オフにするのではなく、制度として町長の給料を今後減らしていったほうがいいのではないでしょうか?
 もちろん、50%オフなんてわけには、いかないでしょうが。

 僕は、町長がお金を必要としていないのなら、ちゃんと給料はもらって、そのうちの半額を寄付すればいいと思うんです。
 なんの咎も理由もないのに「お世話になったから」という理由で給料が半額になったりしたら、お金がなくても自治体のために働きたいという首長はいなくなってしまうかもしれません。
 だいたい、地位が高いほど、なんのかんので支出が多くなるのも世間の常識。
 
 こういう慣習は、無意味どころか、かえって悪影響。
 みんなが公務員の給料は高い、といいますが、それは金額の大きさというより、その金額に見合った仕事をしていないんじゃないか、という不満のほうが大きいのでは。
 
 ボランティア精神っていうのは、確かに立派なことですが、町長という仕事はボランティアでやるようなものではないと思うのです。
 
 政治家になって、大金持ちになるのがおかしいのと同様に、政治家になって貧乏になっていくのも、まちがったことなんじゃないでしょうか。