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2002年12月10日(火)
おいしい空気の価値。


毎日新聞の記事より。

【エアコン大手のダイキン工業がこのほど行った「現代人の空気感調査」によると、おいしい空気を吸うために支払ってもよい金額が1カ月平均で2125円だった。ミネラルウオーターの販売などコスト意識が定着した「おいしい水」の2525円に比べて、安かったが、同社は花粉症患者の増加などで「無料と考えられていた空気もコスト意識が芽生えている。空気に質を求める声は高まっていく」と見ている。

 調査はインターネットで10〜11月にかけ実施、全国の約7000人が回答した。「おいしい空気」の1カ月の支払金額は「1〜1000円未満」が最も多く30.2%。次いで「1000〜2000円未満」が29.1%、一方で「お金を出す必要がない」は11.0%だった。

 実際に支払った人は半数以下の45.9%だったが、「空気清浄機の設置」(1834件)や「山歩き・登山」(226件)。また「引っ越し」(38件)をしたケースもあった。「おいしい空気」のイメージでは「高原や山の空気」の回答が35.2%でトップだった。】

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 この調査そのもの自体、インターネットでの調査ということですし、たぶんこの会社のホームページ等で「水や空気といった環境問題に強い興味を持っている人たち」が解答していると思われるので、無作為抽出法での調査より、かかるコストや空気清浄機の導入率、さらに引越し(!)の率も実際よりかなり高めに出ているものと考えられるのですが。4件に1件に空気清浄機があるとか、200件1件も空気が悪いために引越しをしているとは思えませんし。

 まあ、この数字の信頼性はともかくとして、そういう「きれいな水」や「きれいな空気」を求める人が増えてきているのは事実。
 だいたい、「日本人は昔から水と空気はタダだと思っている」という声はよく耳にするのですが、これは、「水は諸外国では、ものすごく貴重なもの」ということへの警句で、空気が「タダ」というのは、当然と認識されてきたのだと思います。

 しかし、よく考えてみれば、別にプレステがなかったり、恋人がいなくたって人間そう簡単に死にはにませんけど、水がなければ3日ももたないでしょうし、空気が無ければ、5分も生きていられないでしょう。
 人間ってやつは、生きるのに必要ないものにこそお金をかけたくなってしまうものみたいです。他人のことは言えませんけど。

 僕も仕事がら、喘息の患者さんを診せていただくことがあるのですが、やっぱり、空気の違いは大きいみたいです。田舎に来て「発作が少なくなった」とかいう話は、よく聞きますし。そのような人々にとっては、きれいな空気には、ものすごい価値があるもの。
 逆に、ずっと都会暮らしに慣れている人には「山の空気はうまいねえ」とは、思うことがあっても、切実にきれいな空気を求める気持ちは乏しそう。

 それにしても、あまりにきれいな空気に慣れすぎてしまうと、ちょっと空気の汚れたところに行っただけで細菌に感染してしまったりするような抵抗力の弱い人類が、できていくのかも。
 もし、貧富の差や民族によって吸う空気まで違うようになってしまうとすれば、それ以上の差別は、なかなかないだろうし。

 でも、おいしい空気のために一番必要なのは、ほんとうは「費用」じゃなくて、自家用車を使わないようにするとか、自然を大事にするという「手間」なんでしょうけれど。