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2002年12月02日(月) ■ |
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「理系」として生きにくい女性たち。 |
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毎日新聞の記事より。
【女子中学生の理科への関心が、親や教師ら周囲の大人に左右される傾向があることが、東京学芸大の村松泰子教授(社会学)らの調査で明らかになった。日本では中学生の理科嫌いが進む一方、大学の理系学部や自然科学分野の研究者に女性が少ないことが指摘されている。研究グループは「科学への基本的な関心に男女差はない。社会的な原因が、女子の理科離れを加速させるのでは」と分析している。
調査は、中学生の理科嫌いの現状と男女の性差の関係をみるため、99年に9都道府県の公立中1年生907人、00年には同じ学校の2年生851人を対象に実施した。
「理科好き」の割合を男女で比べると、中1男子が65.1%、中1女子が53.1%で、女子の方が12ポイント低かった。とくに、中1から中2にかけて「理科好き」の女子の減り方(約10ポイント)が激しく、中2では男子より17ポイントも低かった。
理科実験で「中心になる」は男子27.2%に対し女子15.1%。「記録」は男子1.1%、女子11.6%で、女子の消極性が目立った。一方、動物の世話や顕微鏡観察など、日常的な科学体験の有無に差はなかった。
理科に対する意識を尋ねると、「理科は将来必要」と考える割合は、2年男子49.6%、同女子39.6%。「仕事に役立つ」と考える女子(9.1%)も男子(15.5%)より少なかった。
また、「先生は、自分が理科でいい成績をとると期待している」「親は自分が将来、科学技術にかかわる仕事についたら喜ぶ」と答えた生徒は、中2男子18.5%、31.4%に対し、同女子6.5%、20.7%だった。
調査結果から研究グループは、▽理科好きの減り方は女子の方が急▽女子は男子より、理科学習と職業が結びつきにくい▽周囲の期待を感じる度合いも低い――と結論づけた。】
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僕は、理科系の大学を出ていますから(とはいえ、医学部が本当に純粋な理科系かどうかは難しい。本来は、理学部や工学部の人が語ったほうがいいのかもしれないけど)、いわゆる理科系の女の子と接する機会は多かったのです。 その一方、単科で地方の大学ですから、文系の女の子と接する機会は、社会に出るまでは、ほとんど無かったのですが。 この研究では、「女の子が理科に興味を持てないのは、性差によるものではなくて、環境要因が大きい」という結論が出されています。 「男だから理系」「女だから文系」というような発想をする人もいますが、現実的には、性差よりも個人個人の資質の差のような気がします。よく「料理は女がするものだ」という決めつけに対し「優秀な料理人には、男が沢山いるじゃないか」というのと同じです。 数学が苦手な男や国語が苦手な女は、世間にたくさんいるわけで。
でも、将来のことを考えると、理科系には進みにくい、という女性は、けっこう多いかもしれませんね。役に立たないと思えば、興味も湧きにくくなる。
医学部の学生というのは、いろんな機会に「どうしてあなたは医学部を選んだの?」という質問を受けるのですが、男性は「病気の人のために尽くしたい」とか「社会のために役に立ちたい」という答えが多かったのですが、女性は「女が一生続けられる仕事で、男性と対等に働ける仕事として医学部を選んだ」というふうに言った人がけっこういたような記憶があります。 確かに、そういった仕事というのは、とくに理科系の専門職では少ないんですよね。 「女性は妊娠すると休んだりするから」というようなことを平然という人もいるくらいですから。 「女性は理系に向いていない」のではなくて、「現代は、理系として女性が生きていくには難しい環境である」というのが、正解なんでしょう。
実際に一緒に仕事をしていると、論理的で客観的な思考や結論を導くための努力を惜しまない女性は、むしろ男性より多い印象もありますし。 まあ、その一方、「女を武器にしてんじゃねえ!」と言いたくなる人がたまに居るのも、事実なんですけど。
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